ハーツクライ産駒が菊花賞に縁がないのはなぜか
公開日:2023年10月19日 14:00 更新日:2023年10月19日 14:24
今年の英セントレジャーを制したが
菊花賞はもともと英国のセントレジャーSを模したもの。イギリスのクラシック最終戦で、舞台はドンカスター競馬場。距離は年によって微妙に異なるが、今年は約2910メートルで行われている。
このレースを制したのがコンティニュアス。その後、中1週で凱旋門賞に挑戦して⑤着と善戦してみせた。アイルランドの名門であるA・オブライエン厩舎の3歳馬だ。
この馬が日本で特に話題になったのは、父がハーツクライで、北海道新冠町パカパカファームの生産馬だから。これで18年の二千ギニーを制したサクソンウォリアー、今年のダービー馬オーギュストロダン(ともに父はディープインパクト)に続いて、日本産種牡馬の産駒による英国クラシック3冠完全制覇が成し遂げられたのだ。
いわば英国の菊を制したハーツクライ。だが、日本の産駒は不思議とこのレースに縁がない。
これまで16頭が参戦して〈01015〉。11年にウインバリアシオンがオルフェーヴルの②着した以外は掲示板すらなし。14年にはダービー馬ワンアンドオンリーが1番人気で⑨着に敗れている。
ハーツといえば長距離型のイメージが強く、いかにも菊の舞台は向きそう。しかし、自身の現役時代も菊花賞は1番人気で⑦着に敗れた。
その後もジャパンC⑩着、有馬記念⑨着。有馬であのディープインパクトに土をつけたのはこの翌年で、3歳秋シーズンはパッとしなかった。この傾向が産駒にも受け継がれているのではないだろうか。
2歳のGⅠは17年ホープフルS=タイムフライヤー、19、21年朝日杯フューチュリティS=サリオス、ドウデュースと3勝。では、3歳時はというと14年オークス=ヌーヴォレコルト、同年ダービー=ワンアンドオンリー、22年ダービー=ドウデュースと同じく3勝止まり。つまり、3歳秋の勝ち鞍はひとつもない。
通算で46頭が挑み〈05239〉。先週の秋華賞はリバティアイランドが強かったこともあるが、2番人気のオークス②着馬ハーパーは③着まで。どうもこの時季は4歳以降に成長する前の“ひと休み”。あの名牝リスグラシューでも、3歳秋はローズS③着、秋華賞②着、エリザベス女王杯⑧着と勝ち切れないまま。4歳初戦の東京新聞杯を勝って再浮上。秋にエ女王杯を制し、5歳夏以降にGⅠを3連勝した。
今年の菊には穴馬が2頭登録。春に京都新聞杯でサトノグランツの②着だったダノントルネードと、ダービー③着のハーツコンチェルトだ。英国の“同期”にならって菊初制覇となるか――。