週末のレースが少頭数になるこれだけの理由
公開日:2023年9月7日 14:00 更新日:2023年9月7日 14:00
金曜、土曜発行の弊紙「競馬面」や専門紙、スポーツ紙を見る方は必ずこう思うだろう。「頭数が少なっ!」と。
木曜朝の時点ではまだ全体の出走頭数は確定していないが、土日の中山、阪神の特別レースの登録馬の数を見ても、フルゲートを超えているのは中山土曜メインの紫苑Sだけ。フルゲート18頭に対して、19頭の登録があった。
他の特別はいずれも16頭以下。土曜の中山9Rアスター賞はそもそも9頭しか登録がない。
では、なぜこんなに少ないのかというと、理由は簡単。今週は1年間の中で稼働できる馬が最も少ないからだ。
まずは先週までの3場(新潟、小倉、札幌)が終了と同時に、3歳未勝利戦が終わった。
どの厩舎も夏競馬における課題のひとつが、1頭でも多く3歳未勝利馬を勝ち上がらせること。だから、馬房の多くが未勝利馬に割かれることになるのだが……。
未勝利戦が終われば、関係者は今後の選択を迫られる。地方競馬に移籍するか、繁殖入り、あるいは乗馬になるか。未勝利のままJRAに残る手もあるが、もちろん自己条件がないから、ずっと1勝クラス以上に格上挑戦しなければならない。
大半の馬は登録を抹消されていずれかの道をさぐるが、これらの馬たちが退厩しても、すぐ放牧先から馬房に入った馬がレースを使えるわけではない。それは「10日ルール」があるから。出走するためには10日間、JRAの管理する厩舎(トレセン)に入厩していなければならないから。つまり、ちょうど入れ替えのタイミングが今週というわけ。
また、函館、札幌の北海道シリーズで使ってきた馬も、3歳未勝利馬以外は放牧かトレセンに帰厩するかの2択。ただ、こちらも長距離輸送があるだけに、今週使うことはかなりレアケースだ。
さらに今年ならではの理由が、例年にない暑さ。
8月10日、函館では観測史上1位を更新する35度超えを記録。札幌でも今年は3回も猛暑日があったそう。もちろん、本州の暑さはいわずもがなで、いくら暑熱対策を施しても、暑さに疲弊している馬は決して珍しくはない。
昨年の4月17日(日)、中山、阪神、福島で536頭が出走した(出走取り消しは含まず)。ところが、昨年の秋競馬初日(中山、中京)では282頭。東西24レースの平均出走頭数は11・75で、もちろん、1年間で最少だった。
多頭数の競馬も面白いが、今週は少なめで当てやすい(?)競馬を楽しみたい。