開催の短縮で3連闘も当たり前に とにかく短い九州産馬の夏
公開日:2023年8月17日 14:00 更新日:2023年8月17日 14:00
今夏の小倉競馬は8月12日(土)に始まり、9月3日(日)まで。既報の通り、4週間と短い。かつては8週間だったことを思えば、たったの半分である。
これにより、関東馬が影響を受けることは、3週前の木曜発行でお伝えした。美浦から小倉へ輸送すると、ほぼ丸1日を要し、出走が困難。小倉記念に出走したククナはいったん栗東に入り、追い切って小倉に輸送したが、これはレアケースだ。
開幕週に小倉を使った関東馬は21頭。実は夏としては通常より、かなり多かった。週単位では19年8月3、4日の時以来の頭数だ。だが、その内訳は障害戦(未勝利、オープン)が5頭で、九州産の2歳馬が9頭。この九州産馬が、今回の話の主役になる。
かつて、九州でも馬産は盛んだったが、現在の生産頭数は年間で60頭ほどに減少。それでも生産奨励のため、この夏の小倉と、地方では佐賀競馬場で九州産馬による限定競走が組まれている。
その佐賀で行われる限定競走も、かつてはJRAが舞台だった。霧島賞は4歳以上900万円以下(現在の3歳以上2勝クラス)、たんぽぽ賞は現在でいう3歳1勝クラスのレースだった。
だが、この2競走が小倉で行われていたのは96年まで。97年からは九州の地方競馬による持ち回りに移行。現在は佐賀の重賞として行われているが……。
JRAでは現在、九州産馬限定競走は新馬戦が2鞍、未勝利が1鞍、そしてオープンのひまわり賞の4鞍となる。
しかし、03年以降、しばらくは新馬1鞍、未勝利2鞍、ひまわり賞だった。ローテーションを見ても8週間の開幕週に新馬戦を組み、3週目、5週目に未勝利、7週目にひまわり賞。だが、今回と同じく夏の小倉が4週間だった20年は1週目に新馬が2鞍、2週目に未勝利、3週目にひまわり賞となる。
新馬を勝った馬は中1週でひまわり賞を使えるが、勝てないと未勝利戦に連闘し、そこで勝っても負けてもひまわり賞へ3連闘。そう、ひまわり賞のフルゲートは18頭だが、そこまでに勝ち上がっているのは3頭だけ。未勝利馬でも枠がいっぱいあるからだ。
九州産馬限定競走で勝利を挙げても、のちのち大きく花が開く馬は数えるほどしかいない。
とはいえ、19年のひまわり賞馬イロゴトシは今年の中山グランドジャンプを制覇し、20年のヨカヨカは翌年の北九州記念を勝って、熊本県産馬による初のJRA平地重賞勝ちを成し遂げた。
このタイトな日程を克服し、第2のイロゴトシやヨカヨカは現れるか。とても短い九州産馬の夏にも注目してほしい。