先週、ドウデュースで阪神を沸かせた武豊から〝騎手〟福永祐一へのエールとは(ネットオリジナル)

公開日:2023年2月15日 14:00 更新日:2023年3月10日 11:43

 先週日曜の阪神競馬場は沸いた。

 京都記念で年度代表馬のエフフォーリア、日本ダービー馬のドウデュースが激突するとあり、入場人員は2万891名。昨年の菊花賞が2万602名だからGⅠ並みの集客力。場内は大いに盛り上がった。

 そこで魅せるから、さすがの武豊だ。8鞍に騎乗して2勝②着2回。メインのGⅡではドウデュースで4角から疾風のような鮮やかな脚を使い、3馬身半差V。ファンを歓心させた。勝利騎手インタビュー後は大きな拍手が起こり、スタンドに手を挙げてこたえた。

 この1勝で仏遠征での敗戦を払拭し、次走のドバイターフへ大きな弾みをつけたことに。「ドウデュースらしい走りができましたね。でも、今回は安全パイの競馬。次は自信を持って行けます」と口ぶりに力がこもった。

 その名手は、日曜には東京で騎乗する。フェブラリーSでヘリオスの手綱を取るためだ。同レースはGⅠ昇格となった97年にビコーペガサスで参戦して④着。そこから26年に渡り〝皆勤賞〟で騎乗してきたレース。初勝利は自身7回目の挑戦となった03年ゴールドアリュール。中山千八での施行を4角スパートから押し切った。以降、06年カネヒキリ、08年ヴァーミリアン、15年コパノリッキーに18年インティと5勝を挙げている。

 今年は27回目の挑戦。ヘリオスとは昨年の根岸Sからコンビを組み8戦目となる。その根岸Sに黒船賞、かきつばた記念、南部杯で連対した。

 前走の根岸Sは⑮着と崩れたが、「いいスタートを切れ、ハナを行くつもりで出して行ったら、(内のオーロラテソーロに来られ)競る形に。レースがうまくいかなかった」と振り返る。それを含めて、「他の馬との兼ね合いだけど、逃げたいね。南部杯でも逃げて鼻差。相手は去年の勝ち馬(フェブラリーS・カフェファラオ)だからね。一発狙うにはそれしかない」と〝逃げ作戦〟を公表した。

 同時に、このフェブラリーSは騎手・福永祐一と一緒にレースをする最後のGⅠともなる。先輩騎手として一番の思い出を振り返ってもらった。

「キズナで勝ったダービー(13年)かな。あの時は彼(エピファネイア②着)もヘコんでいた。でも、そのダービーの後、ワグネリアンで勝って、今は3勝。やっぱり、オレのおかげでしょう(笑い)」

 まずは、豊ジョークを交える返答で笑わせた。

「家が隣で、自分は隣のお兄ちゃん。騎手になるとは思わなかったけど、自分がポルシェに乗って、ジョッキーとしてのいい面を見せたから騎手になったかな。やっぱり、オレのおかげ(笑い)。一時、思い悩んでいる時期もあったけど、その殻をやぶった。一頭、一頭に向き合い、レースも馬のこともよく理詰めで考えている。もともとクレバーな面があり、実績、経験もある。トップジョッキーからは珍しい。今までにない調教師となるんじゃないかな」
 そう福永の調教師像を語ってくれた。

 最後に〝騎手・福永へ惜別の念はありますか?〟と質問した。
「特にないね(笑い)」

 ひと呼吸も置かずに返ってきた。その表情は破顔一笑。豊スマイルでのこの返答こそが名手のエールなのだ。〝祐一なら次のステージでも大丈夫でしょ〟。そう顔に書いてあった。

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