あの馬は今こうしている

2003年朝日チャレンジC制覇カンファーベスト 土佐黒潮牧場で繋養

公開日:2026年9月11日 14:00 更新日:2026年9月11日 14:31

「去勢? していません。朝6時から元気に単独放牧しています」

 1999年生まれのカンファーベストは3歳時に2勝クラスからカブトヤマ記念に格上挑戦。馬群の中をさばいて押し上げると、直線で突き抜けた。初重賞Vと思いきや直線での斜行で⑩着に降着。その後、クラスを上げ、持ち越しの初タイトルが2003年の朝日チャレンジCだった。2走後の天皇賞・秋ではシンボリクリスエスから0秒6差⑤着に健闘するなど重賞でも堅実な走りを見せた。06年の関屋記念で2つ目の重賞タイトルを重ね、09年に七夕賞を最後に競走生活を終えた。今どうしているのか。

「ファンの多い馬で、27歳になった今でも見学に来られることがあるんですよ。この前も関西からいらした方が『○○のレースで馬券を取らせてもらって、ホンマにありがたかったんです』と笑顔で話されていました。ウチとしてもありがたいです」

 こう言うのは、高知県須崎市にある土佐黒潮牧場の代表・濱脇由起子さんだ。海を見下ろす高台にあって、見晴らしがよく、風が抜ける。競馬好きだった亡き父・敬弘さんが95年に開設。原野だった土地を買い、自ら整備して始めた、日本で初めての養老牧場だ。今は娘の由起子さんが引き継ぎ、預かる14頭を世話している。詳しく話を聞いた。

「さすがに歯は悪くなって硬いニンジンや生の牧草などは食べられなくなりました。おかゆなど軟らかいものを食べさせています。でも、年齢の割に体の張りはよく、足腰も比較的しっかりしていて元気ですよ。まだ涼しいうちの6時から3~4時間、放牧して過ごしています」

 放牧はどんな馬と?

「複数で放牧すると、ケンカやケガの恐れがあるので単独で放牧しています。去勢? する馬もいるし、しない馬もいます。カンファーベストはしていません」

 放牧を終えて厩舎に戻ると、右にマンハッタンスカイ(08年GⅢ福島記念)、左にトゥインクル(16年GⅢダイヤモンドS)、正面にフィールドルージュ(08年JpnⅠ川崎記念)の馬房があるそうだ。

レジェンドハンターに関連する間違いで…

 西日本では猛暑が続き、沖縄や奄美付近で停滞した台風が秋雨前線を刺激して大雨も重なった。異常気象で体調を崩す馬はいないだろうか。

「今年は本当に暑くてこたえますが、熱中症になる馬がいないのはよかったです。馬房ごとに設置した扇風機14台、大型空調4台、ミスト装置がフル稼働。馬の健康のために使わないわけにはいかないので、正直、電気代が大変です」

 現役時代は、美浦・佐藤吉勝厩舎に所属した。なぜ、高知で余生を送ることになったのか。

「実は、ウチにいたレジェンドハンターが預かって1年で腸炎で亡くなってしまいました。生産者のカタオカステーブルさんから『それが運命だったと思います。短かったですが、本当にありがとうございました』という丁寧なお礼状をいただいたので、父がご挨拶で連絡しようとしたんです。ところが、電話をかけたのはカタオカ違いの片岡牧場で、間違いをお詫びした流れで、ウチが養老牧場をやっていることをお伝えしたら、片岡さんに『カンファーベストが引退のときはよろしく』という話になりました。引退が決まると、その話が本当にまとまり、お預かりすることになったのです」

 不思議な縁が結ばれたことで、カンファーベストは今もゆったりとした余生を楽しんでいる。カンファーも濱脇さんも、異常気象に負けず、頑張ってください。

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