ホースマン直撃

【木津の日曜競馬コラム・京都4R】

公開日:2026年4月25日 17:00 更新日:2026年4月27日 09:39

 オジュウチョウサンの主戦として名をはせた障害レースの名手・石神深騎手が引退発表をしたのは4月8日。同時に18日に引退式を中山競馬場で開催するとのリリースもあり、若手騎手の頃から何度も取材でお世話になっていたので寂しい気持ちになりました。

 次週の美浦トレセンでのこと。馬上の石神深騎手とすれ違う時、「びっくりしたよ」と声をかけると、笑いながら「今またがっているのが、引退レースで乗る馬ですよ」と紹介してくれました。急いでゼッケンを調べてみるとフジフォンテという障害未勝利馬でした。

 そこで頭に疑問符が。

 引退式が行われる18日は中山グランドJ、19日には阪神で未勝利戦がありましたが、出走想定馬にフジフォンテの名は見当たらず……。

 後ほど、聞いてみるとこんな答えが返ってきました。

「引退式って日程に融通が利くみたいなので18日でお願いしたんです。中山なら家族も来やすいので。26日まで乗るのは公正室に相談したら免許がある間(4月30日まで)は乗っていいって言われたからなんです」

 家族思いの石神深騎手らしい考えから引退式が前倒しになったのでした。

 いよいよ本当の引退週となる今週。時間を取ってもらい、率直に“なぜ引退するのか”という疑問をぶつけてみました。

「自分の掲げていた“最低でも年間障害10勝”というのを達成できなくなったからです。昨年は7勝でしょう。理想としているフォームで乗ることがなかなかできなくなって勝つためのポジションを取れず、障害騎手として大事な危機回避能力も鈍ってきた気もして。そんな感じで乗っていたら競馬って自分だけじゃなく周りの方々にも迷惑をかける。正直、去年の秋ぐらいから苦しかったんですよ」

 昨年の障害戦は121鞍。10勝というのはかなり高いハードルに思えますが、そこはトップジョッキーとしての矜持だったのでしょう。

「でも、引退発表をしてからは肩の荷が下りた感じ。今は攻めて乗れる気がします。最後の騎乗となるフジフォンテ(京都4R)は硬くなりやすい馬で小倉の時は追い切りをしないで使っていたぐらい。でも、美浦では普段のキャンターを長めにやったり、速いところは坂路でやったりしてコンディションは前回よりも上。安定感も出てきたし、楽しみです」

 名手のラストライド。◎とともに、その手綱さばきを目に焼き付けたいと思います。

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4月26日(日)京都競馬場

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木津信之

「ベガはベガでもホクトベガ!」
 93年エリザベス女王杯でホクトベガが①着でゴールに飛び込んだ瞬間の実況です。当時、浪人生でフラフラしていた自分にとっては衝撃的であり、今でも予想の根底に根付いています。
 ベガはバリバリの良血馬で鞍上が武豊。牝馬3冠にリーチをかけていました。対して、ホクトベガは父がダート血統でベテランの加藤和を配したいぶし銀のコンビ。春2冠でベガに大きく後塵を拝したホクトベガに勝ち目はなさそうでしたが、見事にリベンジ。この“逆転劇”こそが競馬の醍醐味ではないでしょうか。
 かつて作家の寺山修司氏は「競馬が人生の比喩なのではない、人生が競馬の比喩なのである」と評したそう。馬も人も生きている間はいつかの大逆転を狙っています。雑草でもエリートを超えるチャンスはあるはずと、きょうもトレセンを奔走しています。

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