日本ダービーは1番人気のクロワデュノールが勝利し、キタサンブラック産駒はダービー初制覇。父が⑭着と現役時代最も敗れ、あのイクイクノックスも勝てなかったレースをついに制した。
ちなみに、クロワデュノールとイクイノックスは母系にサーアイヴァーの血を持っている点が共通している。サーアイヴァーを持っている馬で有名なのはディープインパクト。サーアイヴァーはヘイローと血統構成が似ており、これがディープの決め手の源だったのではなどと言われている。
キタサンブラックは父がディープの全兄ブラックタイドだからもちろん、サーアイヴァーの血を持っているわけで。クロワ、イクイともサーアイヴァーの6×5のクロスが発生している。
加えて、イクイノックスは父が高松宮記念勝ち馬のキングヘイロー。クロワの母の父ケープクロスが8FGⅠロッキンジSの勝ち馬とともに、母の父がスピード寄りと配合のイメージも似ている。
イクイノックスはデビュー2連勝のあと皐月、ダービーで②着。その後に覚醒して引退まで負けなかったが、クロワはどうういう成長曲線を描いてくるのか。クロワは凱旋門賞にも登録しており、今後どんな路線に進むのかにも注目したい。
記者が◎に推したマスカレードボールは②着。期待したドゥラメンテ産駒の父子3代ダービー制覇の夢は達成されなかった。
レース内容は悪くなかった。外枠からラストは33秒7と良く伸びたものの、勝ち馬が強かった。ただ、半姉のマスクトディーヴァもそうだったように、やはり直線の長いコースでこそなのは今回を見ても明らか。この馬も勝ち馬と同じ父は中・長距離型で母系はスピード寄り。紙面のコラムでも書いたように近年のダービーはこの配合パターンを狙うが正解なのだろう。
そういう意味でよく頑張ったのが③着のショウヘイだ。父が中距離型のサートゥルナーリア。母の父がオルフェーヴルで、サドラーズウェルズとヌレイエフの4×5の相似クロスと配合的にはスタミナ寄りの印象だからだ。伯母にオークス、秋華賞を制したミッキークイーン、いとこがエリザベス女王杯勝ちのブレイディヴェーグなら、晩成よりの中距離馬のイメージで秋にはさらに良くなりそう。とはいえ、父はロードカナロアの血筋だけに、菊花賞となるとさすがに距離が長すぎる気もするが…。
④⑤着はサトノシャイニング、エリキングのキズナ産駒。こちらもも父子3代ダービー制覇はならなかった。
キズナ産駒は本番での甘さがやや目立つ。というのも、これまで産駒は重賞でGⅢ23勝、GⅡ14勝、GⅠ5勝。GⅠ勝ちも3歳限定は昨年のジャスティンミラノの皐月賞だけ。あとの4勝は古馬になってからのものだ。今年の3歳重賞でも最多の4勝を挙げていたが、結局GⅠ勝ちにはつながらなかったところは気になるところ。
今週水曜から新種牡馬の紹介記事をネット版で配信
ダービーのあとに行われた目黒記念はアドマイヤテラが重賞初制覇。昨年の菊花賞③着で今年は二千六百㍍→二千五百㍍で連勝。以前にも書いたことがあるが、レイデオロ産駒は種牡馬としては長距離向きな印象。アドマイヤテラは母アドマイヤミヤビがオークス③着馬。母の父ハーツクライと母系もスタミナ十分。成長力のある血だから、今後の飛躍がますます楽しみになる勝ちっぷりだった。
土曜に京都で葵Sは15番人気のアブキールベイが勝ち、3連単は189万円の高配当に。勝ち馬の勝因を探せばペースが流れたことか。
アブキールベイは父が短距離型のファインニードル。母の父はハーツクライだが、祖母の父がストームキャットで母アゴベイも7F以下で2勝。ファインニードルが持つロイヤルアカデミーとアゴベイのストームキャットが相似クロスとなっており、瞬発力よりも持続力勝負に強いスプリンター。前走のマーガレットSは前後半の3F35秒5=34秒1の瞬発力勝負(スタート直後に寄られてダッシュがつかず)が向かなかったが、今回は33秒5=34秒8と前半から流れたことがこの馬にが良かったのだろう。舞台や展開に左右されそうなタイプだけに成績は安定しないかもしれないが、ハマった時の破壊力は覚えておきたい。
ダービーが終わり今週から新馬戦が始まる。今年の新種牡馬の注目はなんといってもディープインパクトと父子で無敗の3冠をなし遂げたコントレイル。そのコントレイルをはじめ今年の新種牡馬の紹介をネット版限定で行います。今週の水曜日から毎週水・木更新で1カ月間、計8頭を紹介する予定。興味のある方はご覧ください。