ホースマン直撃

【木津の土曜競馬コラム・フラワーC】

公開日:2025年3月21日 17:00 更新日:2025年3月21日 17:38

 今週水曜日は強めの雨でスタート。“最近、追い日は毎週雨だなあ”と空を見上げながら憂鬱な気持ちになっていると、状況が一変したのは2時間後。

 9時ごろ雨から雪に変わり、間もなく激しくなって、あっという間に積もったのでした。

 積雪となると困るのが調教です。と言うのも、関係者が“ゲタを履く”という状態になるからです。蹄に雪が詰まって滑ってしまい、人馬ともに危険な状態になってしまうのです。

 そんな中、中京11R・ファルコンSに出走のモンドデラモーレが9時40分に追い切りを予定していたので待っていると、管理している千葉調教師の姿がなぜか食堂に。

「寒いんだから、木津さんも何か食べてくださいよ。追い切り? あすに延期しましたから」

 何と凍えるマスコミ陣に温かい飲食を振る舞っていたのです。千葉師の気遣いで心身ともにホカホカになって、風邪をひかずに済みました(笑)。

 そして行われた木曜日の追い切り。ウッドで重賞勝ち馬のニシノエージェントを追い掛けて直線で内に入ると一気に伸びて2馬身先着の5F67秒6―37秒0、1F11秒5をマーク。豪快な動きを見せたのです。

「1週前にしっかりやった(ウッド5F65秒9―36秒6、1F11秒3)ので、きょうはサラッとの予定だったんですけどね。いい時計でびっくりしました。2週続けて杉原騎手にまたがってもらいました。先週はメンコを外して、今週は着けて試しました。入念にコミュニケーションを取ってもらったおかげで、課題である折り合いに進境が見られましたね。素質は重賞に入ってもヒケを取らないと思っているので期待は大です」

 危険を回避するために土曜中京出走馬でも追い日を迷うことなくスライドする大胆さと、馬の個性を最大限引き出すためにもこまやかな心遣いを惜しまない千葉調教師。勝利の女神がほほ笑むとみて本命を打ちます。

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3月22日(土)中山競馬場

木津信之

「ベガはベガでもホクトベガ!」
 93年エリザベス女王杯でホクトベガが①着でゴールに飛び込んだ瞬間の実況です。当時、浪人生でフラフラしていた自分にとっては衝撃的であり、今でも予想の根底に根付いています。
 ベガはバリバリの良血馬で鞍上が武豊。牝馬3冠にリーチをかけていました。対して、ホクトベガは父がダート血統でベテランの加藤和を配したいぶし銀のコンビ。春2冠でベガに大きく後塵を拝したホクトベガに勝ち目はなさそうでしたが、見事にリベンジ。この“逆転劇”こそが競馬の醍醐味ではないでしょうか。
 かつて作家の寺山修司氏は「競馬が人生の比喩なのではない、人生が競馬の比喩なのである」と評したそう。馬も人も生きている間はいつかの大逆転を狙っています。雑草でもエリートを超えるチャンスはあるはずと、きょうもトレセンを奔走しています。

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