亀井記者の血統ロックオン

今年のダート戦線、長距離路線の中心となりそうなキングマンボ系

公開日:2025年2月25日 07:00 更新日:2025年2月25日 07:00

 先週はGⅠを含めて4重賞があったので、ヨタ話はなしで。

 まずはGⅠフェブラリーSから。勝ったのはロードカナロア産駒のコスタノヴァ。近年の東京ダートで強さが目立つ同産駒だが、コスタもこれで東京は6戦6勝。今回は前走から中2週、カナロア産駒は間隔が詰まると成績が下がることを懸念したが杞憂に終わった。さすがはGⅠ馬を多く出す木村厩舎の仕上げと言ったところか。

 血統面をみれば母の父がハーツクライ。母カラフルブラッサムは6歳まで活躍。母の半兄ピイラニハイウェイは7歳で佐賀記念、浦和記念勝ちと母系は成長力のある血で、5歳のコスタもまだまだ活躍が期待できそうだ。

 レベルの高さを見せたのが②③着の4歳世代。②着サンライズジパングは父キズナのストームキャットと母系のロイヤルアカデミーが疑似クロスになる芝砂兼用型。祖母が仏二千芝重賞の勝ち馬で本質は中距離タイプだ。

 同じく③着のミッキーファイトは意外と距離をこなす馬が多いドレフォンが父で、3代母にエアグルーヴがいる血。ともにここまでの実績通りマイルはベストではないだろう。それでも馬券に絡んだのは地力の高さ。この世代にはサウジCを制したフォーエバーヤングもいるから前評判通り粒ぞろいだ。

 ④着が昨年の勝ち馬ペプチドナイルで、⑤着がロードカナロア産駒のエンペラーワケア。この2頭もキングマンボ系。今後のダート戦線はキングマンボ系と4歳世代が中心に回るとみて間違いなさそうだ。

 同じ東京ダートマイルでは日曜のヒヤシンスSも好メンバーが揃った注目レース。勝ったのはルクソールカフェで、東京マイルはレコード勝ちだった未勝利勝ちに続き2戦2勝となった。それもそのはず全兄は同じくヒヤシンスS勝ちで東京ダートマイルは4戦4勝、フェブラリーS2連覇を達成したカフェファラオだ。来年のフェブラリーSに出走して欲しい馬である。

 小倉大賞典はロングランが一昨年④着、昨年②着から3年越しでのV。母の父がケンダルジャンで小倉の中距離戦に強いグレイソブリン系だ。ヴィクトワールピサ産駒も小倉千八の成績も良く、この舞台はやはりベスト。

 芝初参戦が注目されたヤマニンウルスは⑩着。2番手追走とスピードは見せたように全く適性がないわけではないだろうが、ラストは切れ負け。ワイルドアゲイン、スウェプトオーヴァーボード、ジェイドロバリーを重ねた血統はダート寄り。600㌔の馬体も芝で走るには重すぎた印象だ。

 土曜は東京で長距離重賞のダイヤモンドS、京都で7F戦の阪急杯と全く毛色の違う2鞍が行われた。

 個人的に注目していたのはダイヤモンドSの方。金曜発行の自身のコラムにも書いたのだが、昨年の長距離重賞ではこれまで圧倒的に強かったステイゴールド系が大不振。替わって結果を出していたのがキングマンボ系だった。今年最初のマラソンレースもその傾向が続くのかがポイントだった。

 結果、キングマンボ系ルーラーシップ産駒のヘデントールが4馬身差の圧勝。昨年の菊花賞②着馬とはいえ、力の違いを見せつけた形だ。血統的に母の父がステイゴールドで母コルコバードも中距離で活躍したように非常にスタミナ豊富な配合。昨年はここを勝ったキングマンボ系のテーオーロイヤルが阪神大賞典、天皇賞・春も連勝した。ヘデントールも長距離戦線を牽引する存在になっていきそうだ。

 ③着はゴールドシップ産駒のヴェルミセル。母の父が英セントレジャー勝ちのコンデュイットという真のステイヤー血統だ。スタミナは豊富で距離は延びれば延びるほどいいが、切れるイメージはなく正直、東京向きではない。ベストは暮れの中山・ステイヤーズSではないか。

 この2頭は納得できるが、全くの想定外だったのが②着ジャンカズマ。ハービンジャー産駒は二千六百までは何とかこなすが、三千超の芝では<0 2 1 29>と明らかに壁がある。まして同馬は母が短距離戦で活躍したモンローブロンド。配合的にも中距離で活躍したディアドラと4分3同血で、万葉S(④着)からの前進は厳しいかと思ったが……。全兄は障害でオープンのサーブルオール。字ヅラ以上にスタミナのある配合なのかもしれない。

 想定外だったのは阪急杯も。カンチェンジュンガはビッグアーサー産駒。同産駒はここまでの重賞6勝全てが6F戦で、今回が7F重賞初勝利だ。ただ、母の半弟に芝、ダートのマイル重賞を制したワイドファラオ。母系はノーザンテースト―アグネスタキオン―ノヴェリストとスタミナタイプを重ねてきただけに、その辺が距離をこなせた要因か。それにしても大外一気で上がり3F34秒0の決め手はお見事。これで4戦連続で上がり最速をマーク。父、母の父とも成長力のある血だけに、5歳にして才能が開花したとみていい。

亀井辰之介

 競馬好きの父親の影響もあり、子供のころから競馬中継を一緒に観戦。最初は父親が馬券を当てるともらえる臨時の小遣いが目当てだったが(ただし、父は穴党だったため、あまり的中した記憶はない……)、ある日、シンボリルドルフといういかにも強そうな名前の馬が、強く勝つ姿に魅入られたのが競馬ファンになったはじまり。
 その後はテレビゲームの競馬ソフトにどっぷりハマり、今までに遊んできた競馬ゲームは数知れず。その時に競走馬の配合の奥深さを知り、血統に興味を持ったのが今の予想スタイルの根幹か。現在でもたまにゲームをたしなみ、好きだった競走馬の産駒を活躍させることが小さな喜び。
 予想スタイルはもちろん“血統”。各馬の血統を分析。得手、不得手を見極め得意条件に出走する時に狙い撃ち! 好配当を目指します。

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