亀井記者の血統ロックオン

東西2重賞の人気で2ケタ着順だった2頭を見直したい舞台は

公開日:2025年1月21日 07:00 更新日:2025年1月21日 07:00

 先週の東西2重賞はともにハイペースの競馬。この流れがレースの行方を左右することになった。

 特に日経新春杯は千㍍通過が57秒7で、マイル通過1分32秒4の超ハイペース。ちなみに、年明けに中京千六百㍍で行われた京都金杯が千㍍通過が58秒1で、サクラトゥジュールの勝ち時計が1分33秒5だから、それより速い流れだったということだ。2番人気のメイショウタバルは掛かり気味に逃げたから⑪着失速も仕方なしだろう。

 タバルはゴールドシップ産駒だが、母の父がクロフネを出したフレンチデピュティ。米国スピード血統でクロフネの産駒も距離に限界のある馬が多いのは周知の事実。タバルは母メイショウツバクロも7Fダートの勝ち馬で、祖母のダンシングハピネスも6F勝ち馬。曾祖母メイショウサチカゼも千、千四で勝っており母系は短距離寄り。レース後、調教師は今後は距離短縮も視野に入れるとの話もしたようだが、②着に6馬身差をつけた毎日杯(千八百㍍)からも次戦で二千以下を使ってくれば狙ってみたい。

 一方、勝ったロードデルレイはロードカナロア×ハーツクライでスピードの持続力で勝負する配合。唯一、馬券圏を外した神戸新聞杯は前半の3Fが36秒9で千㍍通過61秒2。上がり3F33秒6の瞬発力勝負だった。やはり今回のような高速クルージングが向いているのだろう。

 こちらも祖母の父にフレンチデピュティが入っており、父カナロアなら今回の距離延長はマイナスじゃないのかという話なのだが、意外と母系はスタミナ寄り。曾祖母レディバラードは二千ダートのTCK女王盃勝ち馬。そのきょうだいには札幌二千六百芝でレコードVのミレニアムウイングがおり、母の半弟にはAJCC勝ち馬のダノンバラードがいる血筋。さらに母の父ハーツクライがスタミナを底上げしており、母デルフィーノも中距離型。カナロア産駒でも距離はこなせる配合だ。流れ次第では神戸新聞杯で負けた二千四百㍍も克服できてもいいのではないか(ベストは二千前後ではあると思うが)。

 京成杯の千㍍通過58秒3は過去10年で最も速いラップ。逆に後半千㍍1分1秒6は過去10年で最も時計がかかっているから、タフなしぶとさ比べになったことはいうまでもない。

 勝ったニシノエージェントは母の父ノヴェリストがタフさには定評のあるドイツ血統。母の従兄にはノヴェリスト産駒で京成杯を制したラストドラフトもいる。今回の流れで持ち味がフルに発揮されたということ。

 ②③着はドラゴンブースト、ミニトランザットでスクリーンヒーロー産駒、エピファネイア産駒のロベルト系。同系に関して詳しくは、もうええでしょ(笑)。ちなみに、今開催の中山重賞でここまで父ロベルト系の出走は8頭で<2114>と③着内率が5割。馬券に絡んだ4頭は4、2、7、9番人気で全頭複勝でベタ買いでもプラスだった計算になる。ただ、こういことは記事にした時点で途切れることが多いのだが……。

 1番人気で④着のキングノジョーは戦前のイレ込みにレースでも直線早めに先頭に立ったからこのペースではさすがに厳しかった。それでも勝ち馬と0秒2差ならよく粘っている。ロベルトのクロスを持つシルバーステート産駒らしい機動力は見せており、コース適性自体は高かったとみている。今後は精神面が成長が課題となる。

 逆にコースが合わなかったと感じたのが3番人気で⑩着のゲルチュタール。確かに母の半弟には中山・ホープフルS勝ち馬のキラーアビリティもいるのだが、本馬の父ブリックスアンドモルタルは直線の短い米国芝でバンバン差し切りを決めた瞬発力型。産駒も芝54勝のうち最多の12勝が東京。内、外回りがある競馬場でも新潟(内2勝、外5勝)、京都(内2勝、外4勝)、阪神(内3勝、外3勝)と直線の長いコース向き。大箱コースに替われば見直したい。

亀井辰之介

 競馬好きの父親の影響もあり、子供のころから競馬中継を一緒に観戦。最初は父親が馬券を当てるともらえる臨時の小遣いが目当てだったが(ただし、父は穴党だったため、あまり的中した記憶はない……)、ある日、シンボリルドルフといういかにも強そうな名前の馬が、強く勝つ姿に魅入られたのが競馬ファンになったはじまり。
 その後はテレビゲームの競馬ソフトにどっぷりハマり、今までに遊んできた競馬ゲームは数知れず。その時に競走馬の配合の奥深さを知り、血統に興味を持ったのが今の予想スタイルの根幹か。現在でもたまにゲームをたしなみ、好きだった競走馬の産駒を活躍させることが小さな喜び。
 予想スタイルはもちろん“血統”。各馬の血統を分析。得手、不得手を見極め得意条件に出走する時に狙い撃ち! 好配当を目指します。

著者詳細、記事一覧へ

最新記事一覧

  • アクセスランキング
  • 週間