軌道に乗ってきた良血ジェラルディーナの戴冠だ。
モーリス×ジェンティルドンナで両親が年度代表馬という夢の配合。当然、期待は高かったが、気性的なモロさもあって重賞未勝利のまま4歳シーズンを迎えることに。
しかし、今夏は鳴尾記念で②着→小倉記念③着と続けて好走。オールカマーで待望の初タイトルを掴んだ。
この要因はまず気性面の成長が大きい。以前はゲートが安定しなかったり、折り合いに不安があったりで、どうしても後ろからの競馬になることが多かった。
それが、前走では鞍上がテンに出していって、5番手インの絶好位でスムーズに折り合うことができたのだ。
この精神面の進境は肉体面の充実があったからこそだろう。
昨秋の2勝クラスを勝った時点では馬体重が438キロ。その後は7戦中6戦がプラス体重で、前走時には464キロまでパワーアップしていた。
このように年齢を重ねて体重を増やしながら本格化していくのは、近年の名牝のトレンドになっている。
例えば、リスグラシューは432キロでデビューして、ラストランの有馬記念①着時は自己最高の468キロ。ラッキーライラックは新馬戦480キロからエ女王杯連覇時には522キロ。クロノジェネシスは新馬戦440キロで宝塚記念連覇時が478キロ。そして、グランアレグリアも458キロでデビューして、5歳時のマイルCSは506キロで有終の美を飾っていた。
一戦ごとに馬体を充実させながら成績を上げてきたジェラルディーナにも、同じようなムードが漂う。晩成型だった父の血からも、ようやく本格化の時期を迎えたということ。
二千二百メートルへの適性は前走で証明済み。力強く抜け出して、GⅠ初制覇を飾る。
相手本線は秋華賞馬スタニングローズ。1F違えども同じ阪神内回りで見せた立ち回りのうまさは、古馬相手でも大きな武器になる。
B型の虎党。父が元専門紙の記者だったこともあり、競馬場デビューはベビーカーに乗っていた頃。本棚に競馬四季報が並ぶ恵まれた家庭環境で育った。アルバイトを経て2000年に入社。03年夏から美浦トレセンに通い始め、担当は堀、相沢、鈴木伸厩舎など。
予想の基本スタンスは“いかに儲けるか”。当たり馬券を手にするために、取材で得た情報だけでなく、データ、馬場、展開、血統とありとあらゆる手段を駆使。人気馬のアラ探しより、一点突破の強力な武器を持つ伏兵を見つけることに血道を上げている。
レース部きってのギャンブル好きで、オート、競輪、競艇と見境なく手を出して勝負勘を養っている。ポーカーは海外の大会で入賞経験もある腕前だ。趣味は祭り、プロ野球、相撲、アメフト観戦など多岐にわたる。ゴルフは典型的な下手の横好き。