データ室・武田記者のラップと馬場差を徹底分析する

1勝クラスを凄い時計で勝ったこの2頭

公開日:2025年9月2日 14:00 更新日:2025年9月2日 14:00

 夏の新潟が終わり、競馬が中山に帰ってくる。

 以前、正直に言うと夏新潟の芝のレースは本当に予想がイヤだった。特に開催後半は千直競馬はもちろん、他のレースも全体的に外ラチ沿いでの攻防になり、内枠の馬が直線で外ラチ沿いを走ったり、予想のつかない展開になるから。

 こうなるのは開催中の雨によって芝の、特に内側の傷みが進むからだ。ところが……。

 これも最近の気候変動の影響なのか。前2年、夏の新潟で重、不良のレースはひとつもなし。今年はゼロとはいかなかったが、芝の重が4、ダートの不良が3レースのみ(レパードS当日の6~12R)で、芝もさほど傷むことなく、開催を終えることができた。

 そのため、芝は最終週とは思えないほど速い時計で推移。GⅢ新潟記念は二千メートル1分58秒0だったが、前半5Fが60秒5のスローで、後半5Fは57秒5。勝ったシランケドは56秒台の脚で上がっている。

 ただし、数字的には日曜8R3歳上1勝クラスの牝馬限定戦をより評価すべきだろう。マカナ(写真)の勝ち時計は1分57秒1で、新潟記念より0秒9も速いからだ。

 テンの1Fは各馬、というよりジョッキーが様子見といった感じで13秒1。だが、1番人気ベストミーエヴァーのルメールが先手を主張し、11秒台前半のラップを3F続けた。5F通過は58秒5だから、新潟記念より2秒も速い。

 当然、ベストミーエヴァーは最後に甘くなったが、詰めてきた2番人気ロンドボスを振り切っての鼻差②着確保は立派。

 ただし、勝ち馬はそれらより5馬身も前に。父ゴールドシップというイメージからは小回りで上がりがかかる展開が向きそうだが、実際は福島、函館では善戦止まりで、新潟二千で2連勝。今回は自身初の上がり33秒台をマークと、成長度は目を見張る。

 一方、中京は全レースが良馬場で夏の開催を終えた。39度予想を見た時は「無事に開催ができるのか」と思ったが、乾燥注意報が出るほど湿度が低く、こちらの想像よりは過ごしやすい暑さだったようだ。

 中京は日曜にレコードが2つ。メインの中京2歳Sは千四1分19秒4が出た。これは古馬と0秒7しか変わらない。

 ◎スターアニスは千二通過の時点で先頭に立って、このラップが1分7秒8。千二の2歳レコードより0秒1速い。

 ①②着から③着まで7馬身差。完全に“二人の世界”だ。印象としては勝ったキャンディードがややマイル向き、スターアニスはスプリント向きか。

 同日の8R3歳上1勝クラス、芝千六では1分31秒3。しかも、最後は押さえてのもので、その強さにア然とした。勝ったグローリーリンクと前述したマカナ。この先が非常に楽しみである。

武田昌已

月~金は麻雀、土日はウインズだった学生生活を経て、入社後は編集一筋25年超。2015年春は何と9週連続重賞的中の快記録も達成し、2016年は春東京でGⅠ4連勝も。馬場の傾向、ラップの分析に定評がある。毎週、目黒貴子さんとその週の重賞解説の動画も公開中。

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