亀井記者の血統ロックオン

小倉記念勝ちがヌーヴォレコルトの仔なら函館2歳Sは快速エイシンルーデンスの孫が逃げ切り

公開日:2025年7月22日 07:00 更新日:2025年7月22日 07:00

 小倉記念は格上挑戦だったイングランドアイズが勝利。近2走は3勝クラスで⑦⑤着だったが、51㌔の軽量に加え。昨夏の小倉では今回と同じ二千芝で①②着。舞台適性も高かったことが勝利の要因か。

 この適性の高さはトニービンの血だろう。この血を持つ馬は23年の小倉記念で①~③着を独占するなど、非常にレースとの相性がいいのだ。イングランドアイズは母の父ハーツクライにこの血がある。そして母はオークス馬ヌーヴォレコルトだから、実はかなりの良血馬。

 中距離での重賞勝ちも価値が高い。父キングマンは欧州のマイル路線で活躍。産駒もシュネルマイスターなどマイル以下でのイメージがあったからだ。ただ、イングランドアイズの全弟オメガインペリアルも小倉二千で1勝クラスを勝ち上がり。現状、同産駒で二千で勝っているのは、このきょうだいのみ。単純に母の遺伝力が強いだけかもしれないが……。

 ②着シェイクユアハートも父ハーツクライだからこの血を持っている。母ルンバロッカは繁殖として非常に優秀で、シェイクの全兄姉のリンディーホイップ、アウトオブシャドウもともに4勝。姉リンディーは5歳時に、兄アウトが6歳時に勝ち鞍を挙げていることから、ハーツクライ産駒らしい晩成傾向に出やすい配合なのだろう。5歳のシェイクももうひと成長あっていい。

 トップハンデタイの58㌔を背負ったディープモンスターが③着。7歳という年齢を考えればよく走っているの、母系にはハイペリオンの血が多く、ディープ産駒でもスパッと切れるタイプではない。今回の上がりのかかるレースが良かったのではないか。

 日曜に函館で行われた函館2歳Sは地方から転厩初戦のエイシンディードが初芝で重賞制覇。前走をダートで勝ち上がってきた馬としては23年のゼルトザームもいるが、当時の函館2歳Sは重馬場で1分11秒7とかなり時計がかかっていた。そのためヘニーヒューズ産駒でパワータイプのゼルトが走ったのだが、今回は良馬場で勝ち時計は1分8秒4で逃げ切り。パワータイプではなく、芝の高速決着で結果を出した点がポイントだ。

 血統を見ても父ファインニードルは今夏の函館芝で活躍が目立ったミスプロ系。祖母はチューリップ賞や中山牝馬Sを逃げ切った快速エイシンルーデンス。母エーシンエムディーも千二芝で3勝を挙げているから、芝での好走も納得の配合。血統が血統だけに距離が延びてどうかの不安はあるが、短距離のスピード勝負なら面白い存在になってきそうだ。

 ②着ブラックチャリス、③着カイショーは函館芝の新馬戦でレコード勝ちしてきた2頭。負けはしたもののスピード馬場で力は出している。

 ブラックは母ゴールドチャリスが6~7Fで3勝。祖母シルバーチャリスのきょうだいにはブラックホークやピンクカメオのいるスピード寄りの母系だ。そこに父キタサンブラックなら本来はマイル前後がベストではないか。今回はスプリント適性で勝ち馬が上回った印象だから、悲観する内容ではない。

 ③着カイショーは父がレガレイラなど出したスワーヴリチャードで、祖母アフリカンピアノは天皇賞・春馬ワールドプレミアの全姉だから、千㍍勝ち馬でも、もう少し距離があった方がいい配合なのだろう。しかも、今回はやや出遅れ気味のスタートでもあったから内容は悪くない。陣営が今後どんな路線をチョイスしてくるのか興味がある一頭だ。

新馬戦ではクロノジェネシスの初仔が母と同じ舞台でデビュー勝ち

 最後に先週の新馬戦を少し振り返る。注目度が高かったのは日曜小倉5Rを勝ったベレシートだ。

 GⅠ4勝クロノジェネシスの初仔だ。スタートで出遅れて、さらにつまづずいて道中は最後方からに。それでも道中は徐々にポジションを上げると4角7番手から差し切った。上がり3F34秒5はレースの上がりを1秒も上回ったから、一頭だけ決め手が違った。今回は小倉での勝利だったが、父エピファネイアでこの瞬発力ならベストは直線の長いコース。母は同じ小倉千八の新馬勝ちから東京千八のアイビーSで連勝を飾ったが、息子はどの路線を進むのか。

 新種牡馬は2頭の産駒が勝ち上がり。土曜小倉5Rのダノンスマッシュ産駒ナムラドロンと、日曜福島5Rのヴァンゴッホ産駒のオブラプリーマだ。ダノンスマッシュはネット版の新種牡馬紹介でも触れたので、ここはヴァンゴッホについて。

 ヴァンゴッホの父は米3冠馬アメリカンファラオでエンパイアメーカーの血を引くミスプロ系。エンパイア、アメリカンともに日本でも実績のある種牡馬だけに、ヴァンゴッホも日本の馬場への適性があったのだろう。

 この父系ならダート寄りかと思えるが、今回は芝二千で3馬身半差の圧勝だ。実は同馬の母イマジンは愛1000ギニー、愛オークス勝ち馬。ヴァンゴッホ自身も現役時代は欧州で走り、仏2歳GⅠクリテリウムアンテルナシオナルを勝っている。エンパイアメーカー直系ながら芝寄りの種牡馬として活躍する可能性も考えておきたい。

亀井辰之介

 競馬好きの父親の影響もあり、子供のころから競馬中継を一緒に観戦。最初は父親が馬券を当てるともらえる臨時の小遣いが目当てだったが(ただし、父は穴党だったため、あまり的中した記憶はない……)、ある日、シンボリルドルフといういかにも強そうな名前の馬が、強く勝つ姿に魅入られたのが競馬ファンになったはじまり。
 その後はテレビゲームの競馬ソフトにどっぷりハマり、今までに遊んできた競馬ゲームは数知れず。その時に競走馬の配合の奥深さを知り、血統に興味を持ったのが今の予想スタイルの根幹か。現在でもたまにゲームをたしなみ、好きだった競走馬の産駒を活躍させることが小さな喜び。
 予想スタイルはもちろん“血統”。各馬の血統を分析。得手、不得手を見極め得意条件に出走する時に狙い撃ち! 好配当を目指します。

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