【安田記念】大器晩成の野武士ロングラン、GⅠも取る
公開日:2025年6月3日 14:00 更新日:2025年6月3日 14:00
強敵相手の戦いで地力強化
エリートではなく生粋のたたき上げ。遠回りはしたが、一歩ずつ階段を上がって桧舞台へ――。
7歳馬ロングランが新馬戦から実に4年半。27戦目にして初のJRAGⅠに挑む。
デビュー当初はダートで勝ち上がり、2勝クラスで成績が頭打ちになると去勢手術。そして、心機一転で芝に矛先を変えた途端、連勝で一気にオープン入りしたのが4歳秋。そこから強敵相手にもまれながら着実に地力を強化してきた。ようやく初めて掴んだ重賞タイトルが、7歳を迎えた今年2月のGⅢ小倉大賞典だった。
これまで千八を中心に使われ、延びても二千か二千二百まで。そんな中、新たに距離を短縮して、千六にチャレンジしたのが前走のGⅡマイラーズCである。
“追走に苦労するかも”と心配していた陣営の思惑とは裏腹に、前半5F57秒8の激流を楽々と6番手で追走。そこから、直線は上がり3F33秒3の末脚でアッサリ突き抜けた。勝ち時計の1分31秒7はレコードに0秒4遅いだけと、10頭立ての5番人気でも決してフロックではない、非常に中身の濃い勝利となった。
「驚きました。思った以上に本格化してきているんでしょう。実際、腰あたりを触っても以前とは違い、緩さが抜けてきています。しっかりしたことで追ってからの反応も速く、より鋭くなっているのかもしれません」とは田中助手だ。
今回はGⅢ→GⅡと連勝を飾り、胸を張って挑む初GⅠ。2週間の放牧を挟んで5月14日に帰厩すると、1週前は岩田康が騎乗してウッド5F70秒1、1F11秒1と感触を確かめている。「前走はびっくりするような競馬。左回りも気にならない。あとはGⅠでどこまで通用するか」と鞍上の期待値も高い。
大器晩成の野武士ロングランが、エリート軍団を相手にどこまでやれるか。その走りに注目だ。