昨年の6月13日付のこのコラムで、「新馬戦2週目にして早くもクラシック候補が」という見出しで1頭の2歳馬を大きく取り上げた。
それがクロワデュノール。皐月賞は取りこぼしたものの、無事にダービーにたどり着き、見事に勝利してくれた(写真)。この原稿を毎週書いていて最もうれしい瞬間でもある。
レースはサトノシャイニングが大外から逃げるかとも見えたが、ホウオウアートマンがハナへ。結局、ホウオウが少し離す形になり、前半5F通過は60秒0。2番手は1秒ほど離れていたから、実質はスローだ。
クロワデュノール自身の上がり34秒2はそう目立たないものの、どこまでいっても②着マスカレードボールがかわす場面はなかった印象で、強い勝利である。
勝ち時計は2分23秒7で、歴代8位。関東は10週連続して土日どちらかが雨らしく、この東京開催で土日24鞍すべて良馬場だった週はゼロだ。
Cコース1週目ではあっても、稍重から良に回復したばかりで、完全な良馬場とは言い難い状態だけに、時計はこんなものか。8R青嵐賞より0秒1速いだけというのは不満もあるが、それでも、同じような位置にいた③着ショウヘイ、④着サトノシャイニングには差をつけたから、文句なしである。
次の期待は⑤着エリキング。上がり最速の33秒4で4角14番手からよく追い込んだ。皐月賞は⑪着だったが、無敗で京都2歳Sまで3連勝した力はダテではなかった。
一方、皐月賞馬ミュージアムマイルは⑥着。着順はそう悪くないが、来そうな場面はほとんどなく、後ろから差を詰めただけ。攻めた乗り方ができなかったのはスローの影響もあるだろうが、単純に距離が長いのでは。
もう一頭、毎日杯まで3連勝だったファンダムは⑭着に大敗したが、前走で見せた末脚はやはり世代屈指のもの。距離短縮で見直したい。
祭りのあとの目黒記念はアドマイヤテラが勝利し、2連勝で初の重賞タイトルを得た。
近年、目黒記念は毎年のようにスローからの上がり勝負になりがち。ダービーよりもスタート地点が100メートル後ろにあるから、最初から坂の上りになるタフなコースのはずだが、今年はラスト5Fがすべて11秒台に。前半5Fが64秒という流れではそれも当然か。
アドマイヤテラは今回も含めての9戦中、上がり34秒台が7回。だが、33秒台は皆無で、流れや馬場がうまくマッチングした印象。今後はさらに決め脚が要求された時がどうかだが、スタミナほ豊富。それにしても、昨年の菊花賞上位組は本当に強い。
さて、今週から2歳戦が始まる。早い段階で来年のダービー馬を見つけることができるか。楽しみに待ちたい。
月~金は麻雀、土日はウインズだった学生生活を経て、入社後は編集一筋25年超。2015年春は何と9週連続重賞的中の快記録も達成し、2016年は春東京でGⅠ4連勝も。馬場の傾向、ラップの分析に定評がある。毎週、目黒貴子さんとその週の重賞解説の動画も公開中。