予想以上に強い勝ちっぷりだった阪神大賞典のサンライズアース。スローでハナを切って恵まれた面もあったとはいえ、3コーナー付近で一度前に出たマコトヴェリーキーを再度抜き返しての6馬身差だから、かなり長くいい脚を使っている。
土曜発行のコラムでも触れたのだが、レイデオロ産駒は意外と距離をこなす馬が多い。昨年の菊花賞③着のアドマイヤテラもそうだが、芝二千六百㍍でもサラトガチップス、サンライズガッツ、レイデラルースの3頭が勝ち上がり。アースも厩舎では〝スタミナお化け〟と呼ばれているとか。レイデオロは二千前後が一番強かったが、産駒はステイヤー寄りのスタミナタイプをイメージしていいだろう。
サンライズアースは母系もシュヴァルグランを出した優秀な血筋。昨年のキングカメハメハ系×マンハッタンカフェは昨年の阪神大賞典→天皇賞・春を連勝したテーオーロイヤルと同じだから本番でも期待したくなる配合だ。
②着はオルフェ―ヴル産駒のマコトヴェリーキー。初の三千㍍で②着は立派だが、スタミナ勝負では勝ち馬に水をあけられた印象。もともと母マコトブリジャールは福島牝馬S、クイーンSと千八の重賞で2勝。同馬も中距離の持久力勝負がベストのタイプだろう。
昨年に続き③着だったブローザホーン。昨秋は結果が出なかったが、昨年は天皇賞・春でも②着と好走しておりエピファネイア産駒のステイヤー。ただ、大型な馬がでやすいエピファ産駒としては430㌔台と小型。直線に坂のある阪神より平坦京都の方がいいタイプ。復調気配が見て取れたのは本番へ向けて明るい材料になったのではないか。
土、日で重賞が行われたのが中京。同じ7F芝が舞台で勝ち馬はともに決め手に優れたタイプ。開催が進み芝は外差しの傾向が強くなってきている。
土曜のファルコンSを差し切ったのはヤンキーバローズ。エピファネイア×ディープインパクトでサンデーの4×3を持つ瞬発力型。母キャンディバローズはファンタジーSの勝ち馬。母子で7F重賞勝ちを挙げたようにこの距離も良かったのだろう。展開に左右される面はあるものの決め手は非凡。父を思えば距離もマイルぐらいまでならこなせていいだろう。
②着モンドデラモーレは好位から勝ちに動いての②着。ワールドエース×クロフネで今回は決め手の差が出た。半兄に日経新春杯③着など中距離で活躍したシュペルミエールがおり、この距離がやや短かった印象もある。
③着には13番人気のリリーフィールドが逃げ粘り。スムーズに先手を取れたのが好走の要因。父はモズアスコットでダンチヒ持ち。ファルコンSはスピードとパワーのあるダンチヒ内包馬が活躍するレースで、その辺も同馬向きだったということか。
日曜は今年から7F戦になった愛知杯。10番人気のワイドラトゥールが鮮やかに差し切った。カリフォルニアクローム産駒はこれが産駒の重賞初制覇。バリバリ米国血統でダート向きの種牡馬になるかと思っていたのだが、芝で重賞初勝利を挙げるとは。
ただ、産駒はここまで39勝のうち、芝13勝、ダート26勝。うち牡馬は芝で2勝、ダート15勝と明らかに砂向きなのに対し、牝馬は芝、ダートともに11勝。柔らかさもある牝馬は芝もこなせる点は覚えておきたい。ちなみに、カリフォルニアクロームもダンチヒ持ちでもある。
②着のシングザットソングは母が米8・5FのGⅡ勝ち馬。母の父マイゴールデンソングもアンブライドルズソング直子のスピード馬でドゥラメンテ産駒の同馬もマイラー寄り。3歳春に同距離のフィリーズレビューを勝ちの実績があった。ちなみに、勝ったワイドラトゥールはこれで7F3勝目だからか距離実績のある2頭でのワン・ツー。非根幹距離のレースだけに、過去に同距離で結果を出してるは近走に成績に関わらず注意が必要ということを再認識させれた。
その点、1番人気のカピリナは半姉が葵S、キーンランドC勝ちのレイハリアの半妹。7Fより6F向きのタイプでその差が出たということ。
土曜に中山で行われたフラワーCはキズナ産駒が①~③着を独占。①着レーゼドラマは社台ファーム生産で母シアードラマ米GⅠ3勝馬。③着ゴーソーファーはノーザンファーム生産でゴーマギーゴーは米GⅡ2勝のともに質の高い配合。
この2つの牧場が生産したキズナ産駒は同世代でも成績が抜けておりノーザンファーム生産馬が19勝で連対率・381、③着圏内率・500、社台ファーム生産馬が6勝で連対率・313、③着圏内率。438。ここまで7つの重賞勝ちのうちノーザンファーム産が5勝、社台ファーム産が1勝。出走してきたら必ずチェックしたい。
キズナ産駒と言えば話題になったのが日曜8Rを勝ったリトルハピ。骨折のためデビューが3歳7月と遅く、今回も8カ月半ぶり。4歳でもまだ2戦目だが2連勝中。特に今回は逃げて後続に3馬身半差の完勝だから、キャリアは浅いが素質は抜群だ。
名前で気付いた方もいるとは思うが、全兄はデビューからダートで3連勝。チャンピオンズC③着や平安S②着などダート重賞で常連のハピ。弟も兄同様ダートなら上のクラスでも十分やれる馬だけに、無事にキャリアを重ねていってほしい。