昨年の４月以来の開催となった阪神競馬。芝のコンディションは絶好でどんな傾向が出るかと注目していたが、芝９鞍のうちキングマンボ系が４勝、サンデーサイレンス系が３勝で、ロベルト系、ストームキャット系が１勝ずつ。

　ちなみに、昨年の１回阪神１週目はどうだったかというと、同じく９鞍でキングマンボ系が４勝、ＳＳ系が３勝、ロベルト系、フォーティナイナー系が１勝ずつとほとんど変わらない結果に。久々の開催を過度に意識しすぎず、例年通りの阪神の傾向で考えれば良さそうだ。

　その阪神で日曜に行われたのが桜花賞トライアルのチューリップ賞だ。勝ったのは９番人気のクリノメイ。月曜発行の紙面でも触れていた通り、この世代の牝馬限定戦のオープン、重賞はすべて１番人気が敗れている。

　しかも、チューリップ賞はテンからペース上がらず前半の３Ｆが35秒７。これは前日に同じマイル戦で行われた未勝利（35秒６）よりも遅い。クリノは２枠から経済コースをロスなく追走できたことが勝因。前走の阪神ＪＦは外枠発走で思ったようなレースができなかったが、父がステイゴールド系のオルフェーブルで、母の父がプリサイスエンドと、もともとが機動力の高い配合。新馬、サフラン賞の連勝も１、２番枠。内枠から思い通りの競馬ができれば力を出し切ってくる。本番も内枠を引ければか。

　惜しい②着だったのがウォーターガーベラ。勝ち馬には鼻差届かなかったが、脚色的には完全に突き抜けていいものだった。

　今回は千八から１Ｆ短縮。母ウアォーターピオニーは７Ｆ戦で３勝。半兄ウォーターリヒトもマイルへの距離短縮で良さが出たように、この距離があっているのだろう。使いつつ力をつけてくるレイデオロ産駒だけに、本番までにもうひと成長する可能性も考えておきたい。

　③着が１番人気のビップデイジー。今回は本番へ向けての試走が強いイメージ。それを思えば内容は悪くないだったか。ただし、母、祖母ともに現役時代は中距離で活躍。父サトノダイヤモンドも菊花賞勝ち馬で産駒は神戸新聞杯、京都新聞杯勝ちのサトノグランツなど中距離型が多い。イメージ的には桜花賞よりもオークス、秋華賞がよりマッチする配合だと思う。

　阪神よりも内有利、前有利だったのが中山だ。芝で外から差してくる馬はほとんどおらず、いかに内の経済コースをロスなく回ってくるかがポイントになった。

　日曜の中山記念を勝ったシックスペンスも１番枠から道中は中団の内を追走。さかのぼれば機動力勝負に強いフェアトライアルの血が多く入っている配合で中山では重賞２勝目。唯一の敗戦は昨年のダービーだが、米国のスピード型が多く入った配合で距離が長かった印象。二千前後の距離なら中心的存在になってきてもいい。

　②着エコロヴァルツも母系の米国系の影響が強く、機動力勝負に強い中距離型。２番枠から好位の内を追走。直線も早めに抜け出し勝ちパターンだったのだが、勝ち馬が一枚上手だったとしかいいようがない。ちなみに、ブラックタイド産駒は全４６４勝のうち最多の１３９勝を千八で挙げており非根幹距離向き。エコロもこの距離で３勝を挙げているからやはり条件がマッチするのだろう。

　③着のソウルラッシュは久々の千八、コーナー４つの競馬。さらにトップハンデの59㌔でレコード決着馬場を考えれば及第点の内容だろう。もともと二千芝の新馬戦で勝ち上がり。配合的にもルーラーシップ×マンハッタンカフェだから、中距離までは十分守備範囲なのを証明したというところだ。

　土曜に中山で行われたオーシャンＳはママコチャがＧⅠ馬の底力を見せつけた。今さら血統的にどうこういう馬ではなく、昨年も寒い時季が良くなかっただけ。前哨戦から結果を出せたのは好材料といっていい。

　それにしても中山は時計が速い。オーシャンＳが１分７秒１なら、中山記念は１分44秒８で21年ぶりにレコードを更新。これだけ時計が速いと年明けの１回中山で猛威を奮っていたロベルト系は厳しくなる。実際、中山記念では昨年の覇者マレンロウスカイが⑨着。今年の中山金杯の勝ち馬アルナシームが⑫着に敗れている。馬場のいい間は米国快速型で、スピードと機動力を増した配合狙いにシフトしてみようかと思う。