【天皇賞・秋】武豊ドウデュース強烈な復活V
公開日:2024年10月28日 14:00 更新日:2024年11月1日 11:18
名手の意地と百戦錬磨のレースプラン
驚異のイクイノックスから1年、またも衝撃の天皇賞・秋となった。
魅せたのは武豊ドウデュースだ。
鮮やかすぎる差し切りと言っていい。「物凄い末脚だった」と名手も驚いた通り、後方2番手から外に出した最後の直線では1完歩ごとにグングングンと加速。他馬が止まっているような伸びを見せ、最後は同じ日本ダービー馬タスティエーラをなで切った。使った上がり3Fは何と32秒5。レースのそれを1秒2も上回る切れ味だった。
この驚異的な決め手を発揮した裏には、名手の意地、決め打ちした乗り方にあった。
昨年は戦前のレースで馬に足を蹴られ、乗り替わるアクシデントで⑦着と悔しい思いをしただけに、「絶対に結果を出さなきゃいけない、と強い気持ちで乗りました」と。その結果が「ある程度、腹をくくってラストの脚にかけるレース」だ。
前半は折り合い、リズム重視。府中の長い直線で100%のドウデュースを引き出す競馬であった。これまで12回騎乗して6勝。酸いも甘いも知り尽くしたコンビだからこそできた人馬一体――。
完成形を思わせる上がり32秒5
見事な復活Vは、現役最強をあらためて証明する走りとなった。レースの前半千メートルは59秒9。GⅠ戦とすれば、スローに近く、後半は57秒4―45秒5―33秒7を記録している。後方2番手から外を回って差し切れる数字ではない。
実際に、上がり2番目の④着ジャスティンパレスでさえ、3Fは33秒0だった。②着に1馬身4分の1差をつけたドウデュースの32秒5は別次元なのだ。
年齢を重ね、成長を続けるのはハーツクライ産駒の特徴でもあるが、5歳秋の今がまさに完成形か。同じ5歳で宝塚記念、コックスプレートに有馬記念を制して引退は先輩ハーツ産駒リスグラシューだから、ここを使ってさらに強さを増す可能性すらある。
残り2戦。ジャパンCは得意の東京コースで、有馬記念は昨年勝ったレース。先ゆく道に不安はない。V3で有終の美が見えた最高の秋スタートだった。