【菊花賞】今週も、今年もルメールだ アーバンシック父、祖父から流れる奥手の血が開花
公開日:2024年10月21日 14:00 更新日:2024年10月21日 14:00
乱菊を制したのは、やはりこの男だった。牡馬クラシック最終戦のGⅠ菊花賞は、ルメールが手綱を取る2番人気アーバンシックが勝利した。
スタートから最後の直線に向くまで、道中で6頭も代わる代わる先頭に立つ、出入りの厳しい展開。それを勝ち馬は人馬とも折り合って、冷静に立ち回った。
まず序盤は13番手で運んでリズムをつくる。2周目に差しかかるあたりからジワリとポジションを上げて、3角5番手、4角は3番手。勝負どころからは先に抜け出す③着馬を、手応え十分な形で大名マークし、直線は難なくかわすと2馬身半差の完勝だった。
「これで世代トップを証明できました」と武井師が言い切るほど、人馬ともに完璧な内容である。
ルメールは先週の秋華賞チェルヴィニアに続いての2週連続V。そして、菊花賞は昨年、大外枠からアッと驚かせる、逃げて差す競馬で勝ったドゥレッツァに続き、今年もいぶし銀の勝ち方。これで菊花賞は〈4212〉の良績となった。まさに“長丁場はジョッキー”の格言を体現している。
しかも、凄いのは②③着馬が前走でルメールが騎乗していた馬。②着ヘデントールは騎乗をギリギリまで悩ませていた馬だし、③着アドマイヤテラは自身が豊富なスタミナを警戒していたほど。騎乗技術だけでなく、相馬眼もたけているのをあらためて示した。
もちろん、アーバンシックもこの秋の充実ぶりには目を見張る。
馬格やスケールの大きさ、ポテンシャルはデビュー時からGⅠ級といわれていた。だが、新馬戦での返し馬で立ち上がったり、調教やレースでも若さばかりが先立っていた。それがこの夏を越して、ようやく角が取れてきた印象である。
祖父ハーツクライ、父スワーヴリチャード同様に奥手の血が、いよいよ本格化と軌道に乗ってきただけに、次戦からの年長馬との対決が楽しみである。