「ここは決めたい」（武豊騎手）

　上半期締めくくりのＧⅠ宝塚記念が、今年は京都で行われる。ファン投票１位に選出されたのはドウデュース。秋春のグランプリ連覇に向けて視界良好だ。

「何も言うことがないですね」

　先週の水曜朝。Ｃウッドでの１週前追い切りに騎乗した武豊が、開口一番に発した言葉にすべてが集約されている。

　まさに完璧と言えるスパーリングだった。

　序盤は僚馬２頭を見る形。ゆったりとしたペースでも力むような場面は一切なく、淡々とラップを刻んだ。ピッチを上げたのは向正面。徐々に前との差を詰めていくと、４角半ばでは早くも前を射程圏に捉えていた。直線入り口で楽々と２頭を抜き去ると、残り１００メートル付近で手前を変換。一気にトップスピードに達して、ラスト１Ｆを水曜の最速タイである１０秒８で締めた。

　全体時計は６Ｆ７９秒８の好時計で、ラスト２Ｆに至っては１０秒９―１０秒８＝２１秒７！　５歳夏にして自己ベストを更新してくるのだから、ピークの仕上げと言っていい。

「（馬場が荒れている）後半だから速いよね。直線の反応は良かったし、道中は落ち着いていて折り合い面も気にならない。きょうのところは、何も心配することがないね。京都？　初めてだけど、この馬には向いてるかも。少なくとも阪神コースよりは合ってると思うよ。ドバイ前の追い切りも良かったけど、今回も凄くいい。楽しみですね」

　日本のエースとして挑んだドバイターフは、直線で前が詰まり⑤着。持ち味の末脚を生かし切れず不完全燃焼だった。レジェンドが「ここは決めたい」とまで言うのだから、巻き返しの思いは相当に強い。

　秋には凱旋門賞も控えているだけに、まさに負けられない一戦だ。