【フェブラリーS】単勝2万7210円──。今から10年前、コパノリッキーが起こした衝撃の裏側

公開日:2024年2月14日 14:00 更新日:2024年2月15日 14:50

GⅠ史上2番目のビッグ配当はフェブラリーS唯一の記録

 今年もGⅠ戦の幕が開く。日曜東京で行われるフェブラリーSだ。

 ホクトベガが制したその翌年、97年からGⅠに昇格した。噛み付きで知られるシンコウウインディが初代GⅠ王者となり、2年後には地方の雄メイセイオペラが制している。

 歴史があるダートGⅠでは〝唯一の馬〟が14年のコパノリッキーだ。

 ウマ娘での登場で再度、その名が若い世代にも知られたが、JRAでは7頭しかいない記録を持つ。

 当時のシチュエーションを知る方はもうお気づきだろう。GⅠレースでの単勝配当である。

 GⅠ史で燦然と輝く大記録は、89年のエリザベス女王杯。20頭立ての20番人気で制したサンドピアリスで、その単勝配当は何と4万3060円。単勝の全617万5714票中、的中はシェア0・2%の1万585票だった。1万票以上あることにも驚くが、これに続くのが、コパノの14年フェブラリーS。2万7210円だった。こちらも16頭立ての最下位人気での勝利だった。

 GⅠでの単勝万馬券を出した馬は他に5頭。00年スプリンターズSのダイタクヤマト(2万5750円)、12年天皇賞・春のビートブラック(1万5960円)、91年有馬記念のダイユウサク(1万3790円)に、02年皐月賞のノーリーズン(1万1590円)。そして、01年中山大障害のユウフヨウホウ(1万1470円)しかいない。

 当時のコパノリッキーのGⅠ初挑戦。いきなり、穴党を歓喜させた超ド級のビッグ配当をもたらしたわけだが、ご存知のとおり、リッキーは翌年に武豊で同レース初となる連覇を決めている。JRA、地方GⅠで10勝するほどの馬だから勝利は必然だったか。

骨折明け3戦目で攻め強化、抽選突破の強運も

 今からちょうど10年前の衝撃をリッキー担当だった木戸厩務員が振り返ってくれた。

「みんな先生(村山師)には話を聞いていたと思いますが、自分のところには一人しか取材にこなかったんですよね」

 戦前の低評価ぶりを思い出し、あらためて苦笑いしていたが、戦績は秋2戦から霜月S⑩着、フェアウェルS⑨着。対して、出走馬には昨年の武蔵野S→ジャパンCダートを連勝したベルシャザール(1番人気)や、前年の佐賀記念から名古屋大賞典、アンタレスS、かしわ記念、帝王賞、JBCクラシック、東京大賞典、川崎記念とダート重賞10戦8勝のホッコータルマエ(2番人気)もいた。下位人気は仕方がなかったか。

「2勝目を挙げた時、乗ったルメールさんが〝カネヒキリみたい〟と言ってくれていたんですよ。素質はあったんだと思います。秋の2戦は骨折明けで攻め切れなかった部分もありましたが、GⅠ前は併せ馬でバンバン乗り、両側からオープン馬に挟まれる併せ馬で先着していたほど。動きは良かったんですよ。乗る助手さんも〝いい時のリッキーだ〟と。勝つとは思っていませんでしたが、密かに自信があったのは確かです」

 運も味方した。ケイアイレオーネと2分の1の抽選対象だったが、これを突破。ゲートインがかなったことが、一番の勝因だったのかもしれない。逆に、そのケイアイは②着ホッコータルマエと同じ西浦厩舎の所属。もちろん、陣営からすれば〝除外されていなければ〟でもあった。

 レースは、内からエーシントップが逃げるその2番手の外。田辺に導かれてスイスイと進み、ゴール前は外から迫るホッコータルマエを半馬身抑え切った。正攻法から堂々の優勝で、個性派コパノリッキーが生まれた瞬間でもあった。

 ダート界の名馬を輩出してきたフェブラリーS。今年は地方馬3頭を含めた、フルゲート16頭。どんな戦いとなり、どんな配当となるのだろうか。コパノの快走を思い出すと、各馬の実力をしっかり見極めるところがスタートラインとなる。

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