【セレクトセール総括 】主役はキタサンブラック、コントレイル
公開日:2023年7月13日 14:00 更新日:2023年7月13日 14:00
今年も昨年以上に札束が飛び交った
今年も10日(月)、11日(火)に北海道苫小牧のノーザンホースパークで行われた「セレクトセール2023」。ここから今後の日本の競馬が見えてきた。
とにかく、活況だった。
初日の1歳馬のセリは222頭の上場で売り上げが133億6500万円に。昨年の128億7000万円を塗り替え、今年もレコードだった。
主取りが6頭と非常に少なく、落札率は97%超え。平均価格は6188万円だった。
2日目も落札総額が147億8000万円で、昨年の128億9250万円を楽々と更新するレコードに。2日間で281億4500万円にもなったのだから、庶民にとってはため息しか出ない結果といえる。
初日の“主役”はキタサンブラックだった。イクイノックス、ソールオリエンスらを輩出したことにより、今では屈指の人気種牡馬に。
最初の上場馬「インクルードベティの2022」は3億1000万円、「ダイヤモンドディーバの2022」は1億7000万円、「アイムオールレディセクシーの2022」は2億9000万円と、牡馬はことごとく億超え。
また、ドゥラメンテの最後の世代も高値で取引され、「コンドコマンドの2022」は牝馬でも1億2000万円、「ドナブリーニの2022」はジェンティルドンナの妹とあって、2億1000万円にもなった。
馬産のない香港から参戦したバイヤーが牝馬を落とした理由
2日目の当歳セリではコントレイルだ。「モアナの2023」「パーソナルダイアリーの2023」と続けて1億7000万円に。「バイバイベイビーの2023」は3億3000万円でコントレイルの馬主だった前田晋二氏が落札。圧巻だったのは「コンヴィクションⅡの2023」だ。母はアルゼンチンのGⅠフィルベルトレレナ大賞典(芝二千二百メートル)の勝ち馬で、これはコントレイルの生産者であるノースヒルズが5億2000万円で競り落とした。「開業祝い」とのことで、福永厩舎に入る予定だ。
最終的にコントレイル産駒の上場20頭による落札総額は25億7200万円で、平均は1億2860万円にもなる。
昨年の今頃は日経平均が2万6000円台だったが、一時は3万3000円台に乗り、現在も3万2000円近く。富裕層はさらに裕福になるという流れが、この好況の要因か。
あまりにも高額になったことで、「とてもじゃないが手が出ない」という参加馬主からの声も。また、当初は円安の影響もあって、「海外バイヤーの落札も多くなるだろう」という見方もあったものの、意外に少なかったのも今年の特徴だ。
そんな中、当歳で2億1000万円、2億円で2頭を落札したのが、香港のカーソン・チェン氏である。
今年、セレクトセール初参加の25歳で、購買したのは牝馬「ドナブリーニの2023」と、牡馬「コンテスティッドの2023」。生産がない香港の方が牝馬を落札した理由は、自身がオーストラリアで牧場を所有しているから。200頭から300頭はいるといい、関係者によると「ジェンティルドンナの牝系がほしかった」とのこと。前記「ドナブリーニの2022」は競り負けたとあって、「こちらはどうしても落としたかった」という。
今後、日本での馬主免許を申請するとのこと。このまま日本で走ることになりそうだ。