【高松宮記念】元日本レコードホルダーが不良馬場で快勝 ファストフォースも二刀流!?
公開日:2023年3月27日 14:00 更新日:2023年3月27日 14:44
4年連続の道悪GⅠとなった高松宮記念。雨中の不良馬場だった今年、制したのは12番人気の伏兵ファストフォースだった。
勝ち時計は1分11秒5と昨年のナランフレグより3秒2も遅く、馬場も当時は内が伸びたのに対して、今年は外が影響を受けにくい馬場。
ファストフォースは道中7番手の追走で、馬場が少しでもいい外めを追走。直線でも反応良く、残り1Fで先頭に躍り出た。②着馬が一瞬、かわしそうな勢いで馬体を並べたが、そこからもうひと伸び。結局、1馬身差をつけてフィニッシュした。
左手を高々と上げて、うれしさを爆発した5年目の団野。だが、今回ばかりは7歳にして初GⅠ制覇となった馬を褒めるべきか。
3歳8月末までに1勝も挙げられず、地方へ。いわゆる“出戻り馬”である。4歳7月に再入厩すると、そこから格上挑戦したGⅢCBC賞を制して5戦3勝。芝短距離への路線変更が当たったのもあったが、勝ち時計は千二1分6秒0と当時の日本レコードの快走で、将来を嘱望された馬だった。
前走から木曜追いに変えてダイエットに成功
だが、その後は勝ち星から遠ざかってしまう。
年齢を重ねると同時に絞りにくい体質がネックとなっていた。4走前のGⅢ京阪杯は540キロの自己最高体重を記録。
そこで陣営は前走のGⅢシルクロードSで最終追いを従来の水曜から木曜へと変更。追い切りからレースまでの間隔を1日でも詰めることにより、リバウンドによる体重増を阻止するためだ。
それが功を奏して、前走は526キロで②着。今回は518キロとさらにシェイプアップして①着なのだから、陣営の調整法がピタリとはまったのは間違いないだろう。
決してエリート路線を歩んだわけではなく、紆余曲折しながらも7歳で掴んだビッグタイトル。父ロードカナロア、母の父サクラバクシンオーと日本最高のスプリント血統を凝縮した、新たなスターの誕生といえる。