あの馬は今こうしている

1997年福島記念制覇テイエムオオアラシ

公開日:2025年11月22日 17:00 更新日:2025年11月22日 17:00

あさひが丘乗馬倶楽部シュバルで繋養

 サラブレッドの寿命は20~30年といわれる中、平地重賞の勝ち馬として最高齢を誇るのがテイエムオオアラシだ。現在32歳。1995年12月2日に阪神3歳新馬芝千二でデビューし、97年に5歳で本格化すると、現行の2勝クラスから4連勝で福島のカブトヤマ記念(2004年から福島牝馬Sとして施行)と福島記念をブッコ抜いた。翌98年には小倉記念も勝ったほか、宝塚記念と天皇賞・秋にも出走。小回り巧者としてファンに親しまれた。今どうしているのか。

「32歳の今もセラピーホースとして活躍しています。仕事ぶりは満点です」

 競走馬を引退後は、小倉競馬場の誘導馬を経て乗用馬に転向。現在は鹿児島市にある社会福祉法人落穂会が運営する「あさひが丘乗馬倶楽部 シュバル」に繋養されている。担当の東洋平さんに聞いた。

「こちらに移動してきた当初は、人を乗せていたのですが、2、3年前からは乗せていません。年を重ねて腰が悪いので、毎日1時間とか時間を決めて運動のために放牧していて、基本的には馬房にいる生活です。食欲は落ちてきましたが、ファンの方が送ってくださった青草や通常の飼い葉を与えると、うれしそうに頬張ります。元気ですよ」

 厩舎には、ミニチュアホースやポニーなどがいて、サラブレッドはオオアラシのみ。体高147センチ未満の小型馬の総称がポニーで、中でも80センチ以下がミニチュアホースと呼ばれる。

「時々、ほかの馬にちょっかいを出すこともありますが、この年ですからおおらかです。いいおじいちゃんですね。ポニーと一緒に放牧することもあります」

 いまでも立派に“仕事”をこなすそうだ。

「ウチは社会福祉法人が運営するので、オオアラシもポニーたちと一緒にホースセラピーを担当しているんですよ。障害を抱える方々が馬に乗ったり、触れ合ったりすることで身体的、心理的に体を整えたり、馬を通してスタッフなどと交流が生まれると、社会性も育んだりできます。オオアラシも、エサやりやブラッシングなどを担当するセラピーホースとして活躍しているんです。ウチは一般の方もビジターで利用できるので、県外からファンの方が訪ねてこられることもあります。皆さんに顔をなでられると、気持ちよさそうにしていて仕事ぶりは満点ですね」

 倶楽部は鹿児島市内でも高台にあり、これから気温が下がると、雪が降ることもあるそうだ。馬服で寒さを乗り越え、まだまだ元気でいてね!

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