アイビスSDはピューロマジックが馬場の真ん中から抜け出した。ご存知の通り新潟の千直は外枠有利の傾向。このレースの前10年でも8枠が4勝で7枠が2勝。3枠から内での勝利は23年オールアットワンス(2枠3番)のみだった。それだけに3枠から勝ったことは価値が高い。
それを可能にしたのが前走から試みている差す競馬だ。
祖母メリジューヌはデピュティミニスター×ストームキャット系の快速馬。ストームキャットのクロスを持つをピューロは持ち前のスピードを生かした逃げで重賞2勝を挙げたほど。もともと抑えきれない面もあり、逃げる競馬をしていたが、年齢を重ねて控える競馬ができるようになってきたようだ。
思えば全兄メディーヴァルも差し脚を武器に活躍。初の千直戦だった韋駄天Sを10番手から差し切っている。血統的にもこの舞台が合っていたのだろう。ただし、兄はその韋駄天Sを勝った以降は不振に。ピューロマジックも次戦の内容が重要になってきそうだ。
②着テイエムスパーダはこれで千直で③①②着。今回も出ムチを入れてハナへ。道中のマークは厳しかったが、最後までしぶとく粘り切った。父レットスパーダの産駒はサンプルが少ないのだが、千直ではナーゲルリングも勝っており、産駒は4戦全て馬券圏。父自身がすでに亡くなっており、現役馬の産駒も3頭しかいないのだがこの条件は鬼だったのかもしれない。
昨年②着のウイングレイテストが③着。父スクリーンヒーローできょうだいにも中距離タイプが多く、同馬もマイラーのイメージ。血統的にこの条件が向いているとは思えないのだが、母系にあるプリンスリーギフトの血が騒ぐのか。
札幌で行われたクイーンSはアルジーヌが1番人気にこたえての快勝。ここまで14戦して7勝②着3回③着1回。一度も掲示板を外していないロードカナロア産駒らしい優等生タイプだ。
母キャトルフィーユは14年のこのレースで1分45秒7のレコード勝ち。アルジーヌの勝ち時計は1分46秒0。今夏の時計の出る札幌の馬場も味方したか。これで千八で5勝目。同じく千八を得意とした母同様に非根幹距離の方がいいタイプなのは間違いないだろう。
②着はキタサンブラック産駒のココナッツブラウン。前走の錦Sでは上がり3F32秒8で差し切っている。今回はプラス20㌔で自己最高体重タイとなる470㌔。それでも4角11番手から直線は内めをグイグイ伸びてきた。晩成型のキタサン産駒らしく体が増えてパワーアップ。この秋が楽しみになる②着だった。
◎のフェアエールングは③着。ニジンスキーの血が濃くゴールドシップ産駒でもスタミナ寄りの配合。それでも得意の札幌なら千八でもなんとかなるかと思ったが、やはりベストは4勝を挙げる二千なのだろう。それでも大崩れしないのは力を付けてきた証拠。ここまで二千までしか結果が出ていないが、今ならもう少し長い距離でも面白いかもしれない。
アーモンドアイ2仔プロメサアルムンドは半兄とは違いマイル寄りのイメージ
先週の新馬戦は良血馬が順当に勝ち上がるシーンが目立った。
まず、土曜中京ではリバティアイランドの半妹コニーアイランドがV。スタートで出遅れて後方からになったが、徐々にポジションを挙げて向正面では3番手まで進出。直線で追われるとスッと反応してあっさり抜け出しだ。。好走はするものの、なかなか勝ち切れない印象があったコントレイル産駒だけに、初戦であっさり勝ち上がったのはさすが。今回は上がり3F33秒9と上々の決め手を見せたが、サーアイヴァーの6×5のクロスを持っており、瞬発力勝負に強いタイプに成長していきそうなイメージだ。
日曜新潟ではアーモンドアイの第2仔となるプロメサアルムンドが勝ち上がり。エピファネイア産駒の半兄アロンズロッドは二千四百㍍で未勝利勝ちと距離が延びて良さが出たが、弟はマイルで初勝利。母系がキングカメハメハ系でサンデーの4×3のクロスをもつモーリス産駒は千六の新馬戦を勝って二千㍍の新潟記念を制したノッキングポイントがいる。同馬も兄より距離レンジは短く、マイル~中距離までが向くタイプだろう。
日曜札幌の千八芝を勝ったクレパスキュラーは、近年勢いのあるキャサリンパーの牝系。一族からはクリソベリル、クリソライト、マリアライトなどGⅠ馬が出ている。勝ち時計の1分47秒8は従来のレコードを0秒6も更新するもの。気性的に難しい馬が多いリオンディーズ産駒で、今回も強すぎるぐらいの前進気勢を見せたところが今後の課題となりそうだが、かなりの素質を秘めていそうで楽しみな一頭だ。