【ヴィクトリアマイル】主要前哨戦で明暗を分けた2頭に注目
公開日:2025年5月15日 14:00 更新日:2025年5月15日 14:00
サフィラ良血開花へ
マイル女王決定戦は過去10年間でGⅡ阪神牝馬S組が4勝、②着3回、③着5回と活躍。18年は①~③着を独占し、昨年も①③着だった。今年も明暗を分けた2頭に焦点を当てる。
良血馬サフィラが本格化の兆しを見せている。
全兄にGⅠ馬サリオスがおり、半姉は20年有馬記念②着のサラキア。いわゆる名門の出身だが、2歳時の阪神JFでは④着に敗れ、昨年のオークスはよもやの⑬着大敗。陣営の期待とは裏腹に、なかなか才能開花とはならなかった。
それが昨秋から一変。③①③①着と一気に軌道に乗ってきたのだ。特に前走の阪神牝馬Sは高く評価できる。
好スタートから2番手の外を確保し、勝負どころでは自ら逃げ馬を捕まえる強気の立ち回り。直線半ばで単独先頭に躍り出ると、②③着馬の強襲を鼻差振り切って先頭ゴールインを決めた。3勝クラスの身とは思えない横綱相撲で、着差以上に強いレースぶりだった。
「格上挑戦でしたが、ポテンシャル的には挑む価値があると思っていましたから。レースでは上手に走ってくれましたね。以前は体をキープするのに精いっぱいでしたが、夏を越して体がしっかりしました。ついてほしいところに筋肉がついて、馬が顕著に変わっています」(池添学師)
勢いそのままに挑むGⅠ戦は、さらに期待が膨らむ。
1週前追い切りでは松山を背にCウッド入り。6F81秒4―36秒4、1F11秒2を持ったままマークしてきた。これには「前走の1週前追いよりも動けてましたね。ジョッキーも〝さらに良くなってる〟と言ってくれました」と指揮官も驚く上昇ぶりを見せている。
さらに「相手は強くなりますが、ポテンシャルは通用すると思ってる。ただ出走させるだけという気持ちはありません」とキッパリ言い切った。
大舞台でも臆する必要はまったくない。アッと言わせるシーンがあっていい。
ボンドガール今度こそ
ボンドガールが待望の先頭ゴールを目指す。
2歳6月の東京千六でデビュー。2番人気のここは1番人気チェルヴィニアが引っ張る展開をインぴったりの3番手から。直線で外に切り替えて追い出されると、力強く伸びて4分の3馬身差でかわした。
チェルヴィニアはその後、オークス、秋華賞の2冠牝馬に輝いた。ところが、ボンドは紆余曲折が――。
秋のサウジアラビアRC②着の後、外傷放牧で半年のブランク。3歳春はぶっつけで狙った桜花賞が3分の2の抽選に入らず、再投票したニュージーランドTで再び②着。NHKマイルCは直線で大きな不利があって⑰着に敗れてしまった。
夏~秋はクイーンS②着、紫苑S③着、秋華賞②着となかなか勝ち切れない。とはいえ、この3戦はいずれも最速の上がりを繰り出しており、力のあるところは見せている。
今年初戦は東京新聞杯で首差②着と5つ目の銀メダル。続く阪神牝馬Sは後方から進めて、直線では大外を回って追い込んだが⑤着までだった。
手塚久師は「前回は枠の並びもあり、自分から動けるポジションじゃなかったね。流れ、展開がうまくいかなかった」と話す。
レース後は在厩調整。先週まで5本の時計をマーク。今週水曜は坂路4F53秒7―12秒7で駆け上がっている。
「順調にきてるよ。ここでも足りる馬。スムーズな競馬ができれば、チャンスはあるんじゃないかな」
デビュー勝ちの地で勝利の女神がほほ笑むか。