【神戸新聞杯】春2冠の実績がモノを言う菊トライアル 皐月賞③着、日本ダービー⑧着のファントムシーフが仕上がった
公開日:2023年9月21日 14:00 更新日:2023年9月21日 14:00
7年連続して〝春2冠出走馬〟が勝利中
菊花賞トライアルの神戸新聞杯は、春の経験がモノを言う重賞でもある。
皐月賞に日本ダービーと春クラシック2冠を走ってきた馬はトライアルでも結果を残してきた。
90年代でいえば、93年ビワハヤヒデ、99年オースミブライトの勝ち馬がそう。2000年に入り、05年の3冠馬ディープインパクトに06年ドリームパスポート、07年ドリームジャーニーが続いた。
2010年代は、さらに増えて10年ローズキングダム、11年オルフェーヴル、12年ゴールドシップ、13年エピファネイア、14年ワンアンドオンリー、16年サトノダイヤモンド、17年レイデオロ、18ワグネリアン、19年サートゥルナーリアと10年で9頭がV。さらに、20年にはコントレイル。ステラヴェローチェにジャスティンパレス。
近7年連続して〝クラシックの重み〟を知る馬がこのトライアルを制した。
1週前がCウッドでラスト11秒2、けさは坂路11秒7で武豊にバトンタッチ
今年で言えば、ショウナンバシットにファントムシーフが該当する。
夏場を順調に過ごせなかったショウナンは陣営のトーンも上がり切らないが、皐月賞で③着、日本ダービーで0秒4差⑧着のファントムシーフはいい形で秋初戦を向かえている。
「春までは馬房から出る際に立ち上がるし、運動でもテンションが高かった。そこを考えつつの調整。メンタル的に追い込まないように無理にゲートもいかなかった。その分、ダービーで一歩目が出なかったところにつながったのかもしれません。そこから精神的に成長しました。落ち着きが増し、大人の雰囲気が出てきていますよ」
調教パートナーの梛木助手は春との比較でこう表現した。
春2冠目の前走は、ワンテンポ遅れた発馬から1角を12番手で入った。結果、前半の千㍍通過が60秒4、そこからの5Fが61秒1という落ち着いた流れで外を回らされる損な立ち回りをさせられた。
「この秋は3週前から毎週、ゲートへ。50㍍弱をしっかり出しています。賢い馬なので、練習通りに一歩目をしっかりと出てくれると思います。トップスピードに乗れば、それを長く維持できる馬。ゲートを出て後手に回らないように馬をつくってきました」
8月22日の帰厩から坂路、コースで乗り込み、3週前の時点でCウッド6F82秒6、ラスト11秒7をマークし、2週前はラスト11秒1の好調教を見せていた。
圧巻は1週前。大きく先行する併走相手2頭の内からズバッと突き抜けた。ラスト2Fは11秒3─11秒2だから春以上の瞬発力だった。最終追いはけさ、坂路で。開門直後の一頭目に姿を現し、しまいを強めに追われて、4F53秒3、2F24秒1─11秒7をマーク。好調教が続く。
「久々なのでしっかりとハミを取らせる感じで。走ることに集中できて、追い切り後はいい意味で抜けていた。素晴らしかったですよ。広いコースが良く、阪神二千四百㍍は向いていそうなので、いい形で本番へと進めたいですね」
コンビを組む名手・武豊は勝てば10年ローズキングダム以来に。13年ぶりの勝利をプレゼントできる状態にファントムシーフは仕上がっている。