【オークス】ノアノハコブネの再来!? ソーダズリングで騎手・調教師双方での大金星オークスVを狙う音無師(ネットオリジナル)

公開日:2023年5月17日 14:00 更新日:2023年5月18日 16:52

ノアノハコブネに本命を打った弊紙大阪版

「全国でただ一紙 ノアノハコブネ本命」

 この見出しが踊ったのは1985年のオークス翌日。弊紙大阪版だ。単勝6270円は未だ、やぶられることのないオークスの単勝レコードの年でもあった。

 競走馬ノアノハコブネ。アローエクスプレスの産駒で、馬名は旧約聖書・創世記にある大洪水にまつわる「ノアの方舟」に由来する。個性的な名で分かるように〝珍馬名〟で知られる小田切有一氏の所有馬で、当時は28頭立ての21番人気。その子が樫の舞台で大波乱を呼んだ。

 ノアノハコブネは、年明け京都でデビュー勝ちしたが、2勝目が遠かった。4歳牝馬特別(現フィリーズレビュー)が⑧着で桜花賞は断念。オークス出走に向けた忘れな草賞でも④着。ここからダートの平場戦を勝利して樫の舞台へ滑り込んでいた。

 下位人気は当然で前半は最後方。人気薄の気楽な立場が功を奏したのか、脚がたまったのか、ハイラップではまったのか。直線で大外に持ち出しすとグイグイと伸び、先頭争いをする1番人気のミスタテガミら4頭を外から一気にひと飲みし、大金星を挙げた。この鞍上が28歳の騎手・音無秀孝。現調教師である。的中したのは当時、大阪版創刊から本紙を担当していた薮中泰人(故人)であった。

 音無師に振り返ってもらうと、

「あのノアノハコブネでオークスを勝った時、ゲンダイで一人だけ本命を打ってた人がいたみたいでね。翌週、師匠の田中(良平)先生に新聞を見せてもらった記憶があるんだ。本当に打ってあった。28頭立てで21番人気だよ。勝ったボクですら〝まれな人がいるんだな〟と思ったもの(笑い)。それが薮中さんだったんだよ」

「知ってくれている武君が乗ってくれるのは心強い」(音無師)

 そこから38年後の今年、音無師は8頭目の樫挑戦となる。送り出すのはソーダズリング。トライアル、GⅡフローラSの②着馬でもある。デビューからの2戦で手綱を取った武豊との再コンビで挑む。

「フローラS(鞍上は戸崎)は千㍍通過が60秒8のスロー。見た目以上に力んでいたのかもしれないね。どの馬もそうだけど、二千四百㍍は未知数だから、知ってくれている武君が乗ってくれるのはのは心強いよね」

 2戦目の騎乗となった2走前は、勝ちタイム1分47秒4の競馬を、上がり34秒1で2馬身半と突き抜けた。インパクトのある競馬をしている。 最終追いもその武豊を背に坂路へ。先行するノットゥルノの内から楽な手応えで並ぶと、小気味いいフットワークで頭差先着。4F52秒7─38秒4─24秒5─12秒0をマークした。

「動きは文句なし。前走がまだ七分くらいの印象もあったから、上積みもあるよ」

 トレーナーが話せば、名手も感触をこう表現する。

「調教で動くし、デビュー前から期待していた馬。オークスに間に合えば、と思っていたけど、何とか間に合ってくれたね。この馬に関して、距離はあまり不安に思わない。癖がなく、ポテンシャルは高い。チャンスがある一頭だと思う」

 単勝1倍台が見える大本命リバティアイランドがいる今年のオークス。ソーダズリングで勝てば、騎手、調教師双方での大金星に。果たして──。

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