スピード寄りの1、2番人気は⑨⑦着 昨年までの府中牝馬S同様、中距離型が強かったアイルランドT
公開日:2025年10月14日 07:00 更新日:2025年10月14日 07:00
先週は3日間競馬で3重賞。まずは土、日の東京2重賞を振り返りたい。
日曜に行われたアイルランドTは今回が第1回だが、実質的には昨年までの府中牝馬S(今年から5月に移動)と同じ。前週の毎日王冠と同舞台でも中距離型が活躍しやすい傾向があるレースだ。
今年もダイワメジャー産駒で母系にエーピーインディ系が入るボンドガールが1番人気で⑨着。母の父がアドマイヤムーンで母アドマイヤナイトが6F戦3勝のスプリンターだったアドマイアヤマツリは2番人気⑦着。スピード型の1、2番人気はそろって掲示板を外している。
一方、勝ったラヴァンダは父がシルバーステートでディープ直子の中距離型。母ゴッドパイレーツも地方の千七、千八を中心に勝っており、やはり距離をこなせる配合だ。ただ、シルバーステート産駒は小回りを得意としておりラヴァンダ自身もロベルトの4×5のクロス持ち。これまで東京で②⑪③着と甘くなる印象があったため今回印を下げていたのだが、着差以上に強い勝ちっぷり。これで3勝クラスから連勝とかなり力を付けてきている印象だ。配合的にベストは小回りで急坂のある中距離戦だと思うが、今の状態なら中距離戦ならコースを問わず好勝負しそうな雰囲気はある。
②着アンゴラブラックは4代母がキャサリンパーで中距離ダートで活躍したクリソベリルや、宝塚記念勝ち馬のマリアライトを出した牝系。祖母モルガナイトは千八~二千で4勝。祖母の半弟ダンビュライトはアメリカJCC、京都記念と二千二百の重賞で2勝を挙げている。父キズナが母系の特徴を引き出すタイプで同馬もここまで4勝のうち3勝を二千で挙げている。体質が弱くなかなか使い込めなったかったが、こちらも勝ち馬同様3ショウクラス勝ちからの連対とようやく本格化とみていいだろう。
③着カナテープはロードカナロア産駒で母ティッカーテープが米中距離芝GⅠで2勝。カナロア産駒でも母系が中距離型の場合は距離をこなすので、この条件がマッチするのも納得だ。同じ東京千八の重賞ででも毎日王冠がマイラー型でアイルランドTが中距離型は有効な馬券作戦となるのでぜひとも覚えておいてほしい。
思った以上に晩成、中距離型だったゾロアストロ
土曜のサウジアラビアロイヤルCはダノンプレミア、グランアレグリア、、サリオス、ドルチェモアと過去の勝ち馬がのちのGⅠ馬になっている出世レースだ。血統的には東京のマイル戦らしくディープインパクトの血を引く馬が強い傾向。今年は母の父ディープのゾロアストロに◎を打ったのだが結果は③着。
レース後のルメール騎手の話によると「ペースが遅く、速い脚が使えなかった。距離はもう少しあっていい」とのこと。確かに血統的には祖母が独オークス勝ち馬のナイトマジックで、母系を遡れば3代母の父にモンズーンがいるドイツ系。ナイトマジックの父がショロコフとサドラーズウェルズ系でゾロアストロ自身がサドラーズの4×4のクロスをもつ欧州色の濃い配合だ。
2戦目の新潟戦で見せた上がり3F32秒9でマイルにも対応できると思ったのだが、思った以上に晩成傾向のある中距離型っだということだろう。ここまで走れるたのは素質の高さに他ならないが、本当に良くなるのはまだ先ということ。今回は負けたものの、過去このレースで敗れた馬からもスタニングローズ、ステルヴィオとGⅠ馬が出ており今後の成長に期待したい。
①②着はともにモズアスコット産駒。モズアスコットはフランケル直子のサドラーズウェルズ系だが、母の父がストームキャット系のヘネシーと欧米の血がミックスされている。モズアスコット自身も芝、ダートでGⅠを制しており、産駒も芝21勝、ダート34勝と父同様の芝砂兼用タイプだ。
勝ったエコロアルバは4代母がパワフルレディだからダービー馬ウイニングチケットの母。ただし同馬は母の父がフレンチデピュティで母の半姉が6F重賞2勝ダンスディレクターとやや米国色が強くスピード寄りの配合となっている。今回は出遅れて最後方からメンバー最速の上がり33秒2で差し切ったが、この決め手を見てもやはりマイル以下がいいタイプだろう。
同じモズアスコット産駒でも②着ガリレアは母の父がステイゴールドで、祖母父がガリレオ。曾祖母の父がアカテナンゴのドイツ血統。こちらはガリレオの3×3のクロスをあるから欧州色の濃い配合でスピードの持続力を生かした中距離型。今回は勝ち馬の決め手に屈したものの、条件を考えればよく走っている。
加えていうなら芝砂兼用のモズアスコット産駒はパワーに優れた馬が多く、芝の渋った馬場も苦にしない馬が多い。今回の稍重の馬場も味方した面もあったと思う。
月曜に京都で行われたスワンSは昨年②着のオフトレルが差し切り。勝ち時計の1分18秒9はレコード。今年はこれまでより2週早く行われたことで時計が出たということだろう。
オフトレイルの現時点で国内唯一のファー産駒。父は英国で8Fと10FのGⅠと勝っている。父の父はピヴォタル。ピヴォタルは日本では母の父としての方が有名で宝塚記念馬ミッキーロケットがそう。自身は短距離型だったのだが、母系に入ると距離をこなす馬を出すことが多い変わったタイプだった。ただし父ファーは祖父からいいスピードを受け継いだらしく、父の産駒には英国ではマイルGⅠクイーンエリザベスⅡ世Sを制したキングオブチェンジが出ている。
オフトレイルは母系もスピード型でマイル前後が適距離。前走の関屋記念がレコードでタイム差なしの②着なら今回がレコードV。父はユレイエフ系で血がよどみなく流れて時計の速いレースを得意とする血。そういう意味でGⅠの速い流れは向くマッチするタイプではないかと思う。