オッズを知れば妙味ある馬券が見つかる!
公開日:2025年6月6日 17:00 更新日:2025年6月6日 17:00
人気馬と統計から導くと……
春のGⅠシリーズもあとわずか。安田記念(8日)、宝塚記念(15日)でひとまず終了だ。先週の第92回日本ダービーは1番人気のクロワデュノールが勝利。2着は3番人気、3着は6番人気で順当といえそうな着順だった。残るGⅠは2レース。堅く買うか、穴を狙うか。できれば春シリーズをプラスで終えたい。ウマミのある馬券はないものか……。
単勝の2番人気を買い続ければ勝てる?
今年最初のGⅠレース、フェブラリーステークス(2月23日)を勝ったのは2番人気のコスタノヴァだった。
「あくまで統計的な数値ですが、単勝に関しては1番人気を買い続けるより、2番人気を買ったほうがリターンはいいようです」(競馬ファンの株式アナリスト・黒岩泰氏)
たとえば、昨年(2024年)のGⅠレース(平地)を対象に統計を取ったところ、1番人気が勝ったのは安田記念、秋華賞、ジャパンカップなど。毎レース100円購入すると、合計2400円の投資額となる。リターンは1500円だった。
さて、同じように2番人気で見ると、勝利したのは桜花賞、皐月賞、天皇賞(秋)などで、リターンは2960円。確かに、2番人気のほうがお得だった。ちなみに3番人気は1700円のリターン。2番人気ほどではないけど、1番人気を買うよりはマシという結果だ。
さて、今年はダービーまで10レースあった。“2番人気の法則”は通用したのかどうか。
1番人気はダービーをはじめ、ヴィクトリアマイル、天皇賞(春)の3レースで勝利。払戻金の合計は770円だ。投資額は10レースなので1000円。残念ながら投資額に満たない。
2番人気は? フェブラリーステークス、高松宮記念、大阪杯に勝った。3レースの払戻金合計は1320円で、何とプラスだ。3番人気は2勝していて、払戻金は1560円。現状では、3番人気のリターンが最も優秀となっている。
〝割安株〟が眠っている
「馬券の妙味というのはオッズから感じることもできます。たとえば2006年、ディープインパクトのラストランとなった有馬記念。圧倒的な1番人気でしたが、引退レースだったので、いつも以上にディープインパクトの単勝が買われたはずです。記念に買っておこうというファンも大勢いたでしょう。極端な話、ゆがんだオッズだったというわけです。こうなると、ディープインパクト以外の馬券に妙味が出てきます。ただし、馬券の当たり外れとは別の話です。株でいえば、割安株がたくさんあったということです」(黒岩泰氏)
ディープインパクトのオッズは単勝1・2倍(120円)、複勝は1・0倍(100円)だった。複勝は見事的中しても投資額が戻ってくるだけ。1円の利益も出ない。人気馬の引退レースでまれに出現するが、確かにゆがんだオッズといえるかもしれない。
〝勝率〟も計算可能?
そもそもオッズはどうやって決まるか。オッズを見て馬券を買うことはあっても、オッズそのものの仕組みを理解している人は案外少ないのでは?
単勝を例にしてみよう。Xレースで単勝の「売上高」が100万円だとした場合、まずそこから控除率(主催者などの取り分、単勝は20%)を差し引く。残額は80万円だ。A馬への投票額(馬券)が20万円あったとすると、「80万円÷20万円=4」でオッズは4倍となる。B馬への投票額が10万円だったら8倍(80÷10=8)、C馬5万円だと16倍(80÷5=16)だ。
オッズからある程度の“勝率”も計算できる。ダービー馬となったクロワデュノールの単勝オッズは2・1倍。ここから導き出せる勝率は38・1%ほど。2番人気だったミュージアムマイルは5・7倍なので14・0%となる。
ごく単純な計算方法は払戻率(単勝は80%)をオッズで割ればいい。2・1倍だったら、「80÷2・1=約38・1」だ。ダービーで6番人気だったショウヘイ(オッズ14・4倍)の勝率は5・6%。勝率1%以下もゾロゾロある。
06年の有馬記念で単勝1・2倍を記録したディープインパクトの勝率は66・7%。どんな人気馬でも、オッズから判断する勝てる確率は、この程度と思ったほうが賢明だ。
ウマミある馬連の探し方
ところでオッズをじっくり見て、妙味のある馬券を探すことはできないものか……。
「統計的に、そうかもしれないという程度ですが、ウマミのある馬券を見つけ出す方法はあります。2番人気や3番人気の単勝を買い続けると、統計的に損をする確率が低くなるという流れの続きだと思ってください。間違ってはいけないのは、勝ち馬を予想するのではなく、妙味ある馬券の探し方ということです。割安株の見つけ方と似ています」(黒岩泰氏)
簡単にいうと、2番人気と3番人気の組み合わせだという。まず、それぞれの単勝オッズを掛け算する。3倍と10倍だとしたら「30」だ。それを2で割って「15」を導き出す。この「15」がキーワードだ。
「次に馬連のオッズを見ます。2番人気と3番人気の単勝オッズを掛けて、2で割った数値が15だったら、馬連も同じ15倍前後になるケースが多いといえます。15倍を基準にして、それより高い20倍とか、25倍だったら割安といっていいかもしれません。反対に、10倍以下だったりしたら割高。ウマミのない馬券です。ひとつの目安にはなるでしょう」(黒岩泰氏)
先週のダービーの2番人気は5・7倍だった。3番人気は6・8倍。掛け算して、2で割ると「19・38」になった。この2頭を組み合わせた馬連のオッズは19・7倍。順当なオッズで、馬券的な妙味は薄かった。
ダービーと同じ日の東京9レース「薫風ステークス」は割安だったかもしれない。2番人気が4・2倍、3番人気が5・0倍。2頭の馬連の“標準”は10・5倍だが、実際のオッズは12・8倍だ。ちょっとだけ妙味がある馬券だったのだ。
このレース、2番人気は1着だったが、3番人気は惜しくも4着。もし買っていても的中はならず……だったけど、当たっていたらウマミのある馬券をゲット! だったわけだ。
たまには、いつもと違う買い方で残るGⅠレースを楽しんでみる?