秋GⅠの開幕戦のスプリンターズSはピューロマジックが逃げ切り。悲願のGⅠ初制覇を決めた。
今年のサマースプリントシリーズのチャンピオンだが、今回は9番人気。ここまで人気を落とした理由は坂のある中山コースだからだろう。実際、それまでの7勝は札幌、函館、新潟、京都、小倉と平坦コースに良績が集中している。中山では3戦して⑧⑧⑯着だからコース適性は決して高いわけではない。
この適性の差を埋めたのが今の中山の馬場だろう。今年は雨での開催が多く、しかもシルバーウイークの3日間開催は代替もあり、火曜まで競馬が行われた。芝が回復する期間が短いうえ、今週も土曜日の芝は重馬場でのスタート。日曜は稍重でスタートしたものの、スプリンターズSの勝ち時計は1分9秒2とかなり時計を要する馬場となった。
この時計がどれくらい遅いかといえば、スプリンターズSが90年にGⅠに昇格して以降で、1分9秒台の決着だったのは04年と07年の2度だけ。馬場状態はともに不良だった。今年も発表は稍重でも、かなりのパワー馬場になっていたとみていい。
ピューロマジックは快速ぶりが注目されやすいが、実は力のいる馬場にも実績がある。レース前まで芝の良馬場以外で〈3111〉。父が芝砂兼用型のアジアエクスプレスでストームキャットの4×5にデピュティミニスターの5×4のクロスもあり、タフな馬場は得意なタイプなのだ。
もともとスプリンターズSは先行有利な傾向があるが、馬場が悪化するとより後ろから行く馬には厳しくなる。実際、前記の04年、07年もカルストンライトオ、アストンマーチャンが逃げ切っている。ピューロマジックにとってはベストの馬場状態だったといえる。
マイルGⅠ2勝馬スターアニスがあらためて示したスプリント適性
②着ワールズエンドも3番手から粘り込み。母リラヴァティはマーメイドSの勝ち馬で、半姉にはオークス馬のシンハライトがいる血筋。母系にはサドラーズウェルズの血も入っている。ロードカナロア産駒でもマイラー寄りで、今回が初の6F戦。例年のように時計の速い勝負ではついていけるかの心配もあったが、時計のかかる馬場になったことがプラスだった。
③着サウンドモリアーナもダートをこなせる血統。祖母オテンバコマチがダートで2勝。母サウンドリアーナは芝のファンタジーS勝ちに、ダートではオープンの端午S①着、ユニコーンS②着もあった兼用タイプ。半姉サウンドアレグリアもダートで4勝を挙げている。サウンドモリアーナもダートでデビューして2勝。ミッキーアイル産駒も芝砂兼用型だから、同馬も配合的に力のいる馬場は得意。上位の顔ぶれをみても、馬場の巧拙が結果に直結するかなり特殊な状態だったといえる。
そんな中、大健闘だったのが④着のスターアニスだ。前の止まらない馬場で4角10番手から追い込んでみせた。父ドレフォンで母の父ダイワメジャーのスピード配合。母は6F戦で3勝を挙げたエピセアロームだ。前走のオークス⑫着はさすがに距離が長すぎたということ。阪神JF、桜花賞とマイルGⅠ2勝馬だが、血統通りスプリントGⅠでも通用するところをあらためて示した一戦だった。
阪神二千ダートで今後も要注目なロベルトの血
土曜に阪神で行われたシリウスSは5番人気のヴァルツァーシャルがV。マクフィ×エンパイアメーカーとミスプロ系同士の配合。同馬の他にも半弟にはダートで3勝のレイズカイザーなどがおり、きょうだいがJRAで挙げた14勝全てがダートという砂に特化した血統だ。
もうひとつ血統面での注目ポイントを挙げるなら、祖母の父がグラスワンダーとロベルト系だったことか。
シリウスSはJRAのダート重賞では最長の二千㍍戦。直線の急坂を2度上るタフなコースでスタミナを要求される。そこで生きるのがロベルト系のタフさだ。実際、昨年以降、このコースでオープン以上のレースは3鞍行われたが、勝ち馬は全てロベルト系内包馬(25年仁川S勝ち馬ルクスフロンティア=エピファネイア産駒、25年ホウオウルーレット=祖母の父リアルシャダイ、26年ジューンアヲニヨシ=曾祖母の父ロベルト)なのだ。
ちなみに、今回の出走馬で5代目までにロベルトの血を内包していた馬は6頭で、①着ヴァルツァーシャル、③着マイノワール、⑤着ギュルヴィと半数の3頭が掲示板を確保している。このコースで狙っていきたい血だといえる。


























