阪急杯で見せた抜群の能力は産駒に伝わるか ソンシを導入したイギリスの牧場側に話を聞いた(1)
公開日:2026年10月15日 08:00 更新日:2026年10月15日 08:00
ソンシは父ナイトオブサンダーの外国産馬。23年10月の2歳新馬戦でデビューし、オープンでも活躍。今年の阪急杯では千四1分18秒9のレコードで勝利し、初の重賞勝利を決めた。
約1年1カ月ぶりの復帰戦を3馬身半差の圧勝したが、その後に引退を発表。競走生活を終えて種牡馬入りしている。
7月2日にJRAの登録を抹消。その後はニュージーランドで種牡馬入りと言われたが、現在はイギリスのグロスターシャー州にあるバッツフォード・スタッドに繋養されているという。
そのあたりはどういう経緯なのか。現在のオーナーであるルイジ・ムオッロ氏に話を聞いた。 全3回に分けてお届けする。(取材協力・森航大)
今後は南半球へ
Q1・まず、ソンシを獲得するに至った最大の決め手は何でしたか?
A1・私は日本の競馬の大ファンであり、日頃から熱心にチェックしています。自身が所有するニュージーランドの生産牧場「ノヴァラパーク」向けには、すでにステファノスを繋養種牡馬として獲得した実績もあります。
ソンシを獲得する決め手となったのは、彼がすべての条件を満たしていた点です。血統の良さ、圧倒的なスピードと能力、そして馬体の素晴らしさ、そのすべてを完璧に兼ね備えていました。
Q2・JRAからの引退発表時、行き先はニュージーランドでの種牡馬入りと報じられていました。実際の繋養地がイギリスで確定した経緯や、当初の計画から変更された理由について教えてください。
A2・ソンシは最終的に、南半球のシーズン(9月~12月頃)にニュージーランドの私の牧場、またはオーストラリアで繋養される予定です。今回のイギリスでの繋養は、彼を北半球・南半球の両半球で種牡馬として立ち上げる(シャトル供用する)ための絶好の機会と捉えています。
Q3・いつ頃から彼を種牡馬候補として注目していましたか?
A3・3歳初戦で3馬身差をつけて圧勝した走りを見てから注目するようになり、それ以来ずっと彼の走りを追い続けていました。
Q4・日本での競走実績の中で、どの部分を最も高く評価しましたか?
A4・高く評価している点は数多くあります。ソンシは勝利したすべてのレースにおいて決定的な着差をつけて圧勝しており、これは短距離路線において容易にできることではありません。(②③着に)敗れたレースに関しても、前が詰まるなど展開に恵まれなかったものが多く、運が良ければ勝利していた内容でした。
1986年以降、古馬の芝千四重賞において「0秒5以上の着差」をつけて勝利した馬はバンブーメモリー、ヒシアケボノ、コパノリチャード、グランアレグリアのわずか4頭しかおらず、その全馬が後にGⅠ馬となっています。ソンシがGⅢ阪急杯で見せた「4馬身差(0秒6秒差)」の勝利はこの基準を上回るものであり、しかも手綱を取った騎手はゴール前で抑える余裕すら見せていました。さらに、ソンシがマークした勝ち時計1分18秒9は、上述したどのGⅠ馬よりも速いものでした。
また、阪急杯で記録した「netkeiba タイム指数:121」は、スプリンターとして過去最高値であり、日本及び欧州で目覚ましい活躍を見せたサトノレーヴのピーク時の数字すら上回っています。
レコードタイム、持ったままの手応えで見せた圧勝劇は、ソンシがまさに世界一級品の競走馬であることを証明しています。
Q5・スプリンター、マイラーとしての完成度や全体的なクオリティをどう見ていますか?
A5・彼は単なる一本調子のスピード馬ではなく、非常に完成されたスプリンターです。東京、中京、阪神の良馬場において、千二から千四で勝利を収めており、逃げても控えても結果を出してきました。通算10戦6勝。敗れたレースの多くも不完全燃焼な展開でした。
阪急杯での走りはまさに彼の能力の証明でした。コースレコード、着差、そして騎手が抑える余裕を残してのゴール。世界最高峰のスプリント能力を示すと同時に、血統的にはマイルまで距離を延ばせる底力も秘めています。種牡馬にとって、この圧倒的なスピードとそれを支える恵まれた馬体の組み合わせこそ、まさに理想的と言えます。
(続く)





























