【凱旋門賞】勝ち馬ダリズ以下、⑤着までの関係者コメント(ネットオリジナル)

公開日:2026年10月5日 14:00 更新日:2026年10月5日 14:00

アガ・カーンファミリーは凱旋門賞9勝目の凄さ

 凱旋門賞は1番人気のダリズが見事に連覇を達成し、歴史的な偉業を成し遂げた。

 牡馬による連覇は、77・78年のアレッジド以来の快挙となる。それ以降、連覇を果たしたのは歴史的名牝であるトレヴ、エネイブルの2頭のみであった。

 ダリズは道中後方に待機し、直線でバルザローナが馬場の外へと持ち出した。外に出された時点で、逃げ粘るベイシティローラーとの間にはまだかなりの差があった。ベイシティローラーの鞍上マーフィーは15番枠という不利を克服するため、スタート直後からスムーズに前へと出し、好位を確保してから内へ寄せる見事な騎乗を見せていた。

 しかし、ダリズの繰り出した繰り出し脚はケタ外れ。ゴール前300㍍地点で、まず16番枠の不利を克服しつつ徐々にポジションを上げてきたダイヤモンドネックレスをかわすと、すぐさまベイシティローラーを急襲。あっという間にこれを競り落とし、圧倒的な強さを見せつけた。

 ダリズの勝利により、アガ・カーンファミリーは凱旋門賞通算9勝目。最多勝記録をさらに更新した。アガ・カーン3世が1948年と52年に、その息子のアリ・カーン王子が59年に、そしてアリ・カーン王子の息子であるアガ・カーン4世が82年、2000年、03年、08年に勝利。さらにアガ・カーン4世の娘であるザーラ・アガ・カーン王女が率いるアガ・カーン・スタッズが、ダリズによって25、26年の連覇を果たし、2つの白星を積み上げた。
 (取材協力・森航大)

勝ったダリズはこれで種牡馬入りか

①着ダリズ フランシスアンリ・グラファール調教師
 昨年もこのレースの凄まじさを実感しましたが、直線に向いた時の感情の高ぶりは言葉になりません。今年は昨年とは全く異なる立場(大本命)で臨んだため、相応のプレッシャーがありました。馬たちがゲートに入っていくのを見ながら、肩に重い責任を感じていました。大一番に向けて馬をピークに仕上げるのが私たちの仕事ですが、レースには勝敗を分ける不確定要素がつきものです。

 ですが、結果としてすべてが完璧に進みました。馬が良い手応えで伸び、直線で加速できると確信した時、どんどん勝利への自信が深まりました。それ以降の走りは…彼はまさに圧倒的な王者そのものでした。観ていて本当に素晴らしかった。競馬を愛する世界中のすべての人々にあの瞬間を味わっていただけたなら幸いです。彼のような王者がこのような大レースを勝つ姿は、実に壮観でした。

 私は感情を揺さぶるような仕事に携われて幸運です。きょうは家族も勢揃いし、喜びを全力で噛みしめています。アガ・カーン・スタッド及びアガ・カーン・ファミリーにとって、そして彼らの素晴らしい生産事業にとって、本当に心からうれしく思います。

ザーラ・アガ・カーン王女(アガ・カーン・スタッズ)
 凱旋門賞の日はいつも胸がいっぱいになります。会場の熱気や雰囲気、馬たちに応援を送る観客の歓声に感情を揺さぶられずにはいられません。昨年は父を亡くした直後で辛い時期でもありました。父が生きていれば昨年の勝利を心から誇りに思ってくれたはずです。今年のこの勝利も、きっと誇らしく思ってくれているはずです。

 フォルスストレートの坂の頂上付近では、正直少しヒヤヒヤしました。しかし、私はミカエル(バルザローナ騎手)の乗り方に慣れていますし、彼がこの馬の特性を熟知していることも分かっています。彼は毎朝調教に乗り、馬のスタミナや余力を正確に把握していますから、彼を信頼して正解でした。

 ダリズは自らの強さを十分に証明してくれました。生産者の立場としては、来年再び走らせるよりも、無事に牧場へ戻して種牡馬としての将来に備えさせたいと考えています。

ネモネ・ルース氏(アガ・カーン・スタッズのレーシングマネージャー)
 昨年は勝った瞬間に爆発的な喜びが込み上げましたが、今年は1番人気だったこともあり、本当にストレスのかかるレースでした。正直、負ける姿が想像できませんでしたし、もし負けていたら相当なショックを受けていたと思います。

 レース中も決して楽な展開ではありませんでした。かなり後ろの位置になり、ペースもそれほど上がらず、外へ出す必要がありました。ですが奇跡的に外へと持ち出すスペースが見つかり、ダイヤモンドネックレスとともに上がっていくことができました。彼が本来の伸び脚を発揮できた瞬間、「勝てる!」と確信しました。本当に信じられない馬です。

 昨日の時点で王女は来年彼を種牡馬入りさせることを強く望んでおられました。もちろん今週、あらためてチーム全体で話し合う必要がありますが、私たちは生産者であり、牡馬は種牡馬として、牝馬は4歳で繁殖牝馬として牧場へ戻すことが本来の目的です。今年ダリズを現役続行させたこと自体が大きな挑戦でしたが、私たちは見事にそれを成し遂げられたと思っています。

ベイシティローラーは「全力を出し切った」

②着ベイシティローラー G・スコット調教師
 信じられないほど見事なパフォーマンスで、大きな走りを見せてくれました。逃げるベイシティローラーを見て緊張していたかですか? それほどでもありません。「このまま粘り切れるか」と思ったかと言われれば、後ろから猛追してくる馬たちが見えていたのでNOですが、それにしても素晴らしい走りでした。見事な騎乗であり、並み外れた競走馬です。

 彼は全力を出し切ってくれました。絶大な勝負根性だけでなく、それに伴う品質と才能を備えています。誰もが彼を〝重馬場専用馬〟と決めつけがちですが、決してそうではありません。むしろきょうの馬場が彼を助けたのだと思います。彼は来年も現役を続けて、再びここ(凱旋門賞)へ戻ってくるべきでしょう。

④着フレンドリーソウルはBCフィリー&メアターフ参戦が濃厚

③着ダイヤモンドネックレス、⑨着ベンヴェヌートチェッリーニ、⑩着ミニーホーク A・オブライエン調教師
 ダイヤモンドネックレスは本当によく走ってくれました。彼女が良い牝馬であることはずっと分かっていましたし、非常に力強いパフォーマンスを見せてくれました。距離が持たなかったとは決して言えない内容です。

 ベンヴェヌートチェッリーニに乗ったライアン(ムーア騎手)は少し包まれてしまいました。もっとペースが流れてくれた方が良かったと言っていました。

 ミニーホークに乗ったウィリアム(ビュイック騎手)も同様で、馬群に閉じ込められ、この馬にとってペースが遅すぎたと話していました。

④着フレンドリーソウル T・ゴスデン共同調教師
 事前に馬場を歩いて通るべきルートを確認していましたが、レースはまさに思い描いた通りの展開になりました。とても良く走ってくれました。今後については、キーンランドのBCフィリー&メアターフに向かう可能性があります。オーナーブリーダーがアメリカの方ですので、非常に理にかなった目標と言えます。二千四百㍍も持ちますが、二千㍍でも非常に高い適性を見せる馬です。

⑤着カルパナ A・ボールディング調教師
 想定していたよりも少し後ろのポジションになり、オープンストレッチで進路を探さなければなりませんでした。それでもしぶとく伸びて、しっかりとした脚でフィニッシュしてくれました。前走のヨークシャーオークスでの勝利が思いのほか疲労として残っていたのかもしれませんが、十分に健闘した走りだったと思います。次走はブリティッシュ・チャンピオンズ・フィリーズ&メアズSへ向かい、素晴らしい走りでキャリアを締めくくってくれればと思っています。

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