亀井記者の血統ロックオン

日本馬が凱旋門賞を勝ち切るのに足りない欧州由来の血

公開日:2026年10月6日 07:00 更新日:2026年10月6日 07:00

 日曜の深夜に行われた凱旋門賞。日本から参戦した2頭はアドマイヤテラが⑪着、メイショウタバルが⑭着と、またしても厚い壁に跳ね返される結果となった。

 パリロンシャンは稍重発表。前年よりも軽い馬場コンディションだったのは間違いない。メイショウタバルはハナを切ってマイペースでの逃げ。アドマイヤテラも好位の3、4番手からレースを進めた。それでも直線では2頭ともに余力は残っていなかった。確かに勝ったダリズは強烈な差し脚を発揮したが、②着ベイシティーローラーは2番手からタバルをマークする形、③着ダイヤモンドネックレスも中団前めから早めの進出。決して前に行った馬に不利な流れではなかった。

「思った以上にスタミナ、パワーがそがれていたのかな」とはレース後の武豊騎手。高低差の激しいパリロンシャンを克服するには見た目以上のタフさがいるのだろう。

 血統を見てもダリズは父シーザスターズが凱旋門賞馬。父の母アーバンシーも牝馬ながら凱旋門賞を制している。ちなみに、ダリズはパリロンシャンでは9戦して8勝②着1回。二千四百では3戦3勝と、抜群のコース適性を誇る。

 ②着ベイシティーローラーも父が15年凱旋門賞③着のニューベイで、母の父はガリレオ系。③着ダイヤモンドネックレスにしても父セントマークスバシリカの父シユーニが凱旋門賞馬のソットサスを出している。上位は当然のように欧州系が主体の配合馬ばかりだ。

 一方、日本馬を見るとメイショウタバルはサンデーサイレンスの3×4のクロスを持ち、母の父フレンチデピュティ。アドマイヤテラは曾祖父のキングマンボが欧州で走ったとはいえマイル路線。レイデオロの母ラドラーダはロベルト×ミスプロで、レイデオロはミスプロの3×4を持っている。アドマイヤテラの母アドマイヤミヤビもサンデーサイレンス系×フレンチデピュティ系。そう、2頭ともに米国寄りの配合なのだ。

 馬場の高速化が進む近年、日本ではサンデー系を中心に米国由来のスピード型の血が主軸となっている。確かにサンデー系でもディープインパクト(3位入線で失格)やオルフェーヴルが凱旋門賞で惜しい競馬をしたことがあるが、彼らは国内では圧倒的な強さを見せた3冠馬。そのクラスでも勝ち切れなかったのだ。

 凱旋門賞で勝ち切るにはより欧州由来の、特に凱旋門賞で好走してきたような血が必要なのだろう。ただ、そういった血統の馬が今の日本の高速馬場で存分に活躍できるかとなると疑問は残る。逆に近年のブリーダーズカップで勝利する日本馬が出てきたのは、米国由来の血が豊富だからこそとも言える。日本馬が世界トップレベルの水準にあるのは間違いないし、現在の方向性が間違っているとも思わない。ただ、〝凱旋門賞を勝つ〟となると、それはまた別のベクトルが求められるということなのだろう。

キタサンブラック産駒エコロディノスが雨馬場で力を発揮

 では、国内重賞の回顧を。先週日曜の京都は雨。午前中こそ良馬場だったものの、午後からは稍重へと悪化した。メインの京都大賞典を勝ったのはキタサンブラック産駒のエコロディノス。11番人気で穴をあけた。

 レースは前後半の3F35秒0=34秒9、5F59秒7=59秒5。雨馬場でこのペースになると、どうしても後ろからの馬には厳しくなる。エコロディノスも2番手からの抜け出しだった。

 (最近は毎週同じことを書いている気がするのだが…)雨馬場も同馬にはプラスに働いた。父キタサンブラックは不良の天皇賞・秋の勝ち馬。産駒も力のいる馬場に強く、稍重以上の芝の重賞では〈2304〉で連対率・556。渋れば渋るほどいいタイプなのだ。

 エコロディノスは母の父が欧州ノーザンダンサー系のジェネラスで、祖母の父がドイツ系のアカテナンゴ。母ミスティックリップスは独オークス勝ち馬と、母系もタフな馬場に強い配合だ。1勝クラス勝ちが稍重で逃げて②着に1秒差だったように、渋った馬場は得意だった。ドイツ母系で母の父がニジンスキー系ならスタミナと成長力はかなり見込める血統構成。4歳でもまだ伸びシロがありそうで、今後も時計のかかる中・長距離戦では怖い存在となりそうだ。

 ②着マイネルエンペラーもタフな馬場に定評のあるゴールドシップ産駒。母の父ロージズインメイ、祖母の父ブライアンズタイムも同じくパワー寄りだ。この2頭が上位に来たことからも、稍重の発表でもかなり力のいる状態だったのではないだろうか。

 ちなみに、ゴールドシップ産駒は近年の京都大賞典における穴メーカーで、22年ウインマイティー、23年メイショウブレゲ、24年ヴェルミセルが③着に入っている。メイショウブレゲが11番人気で、ヴェルミセルは15番人気での好走、今回のマイネルエンペラーも8番人気だ。ちなみにリピーターは走らない傾向があるため、来年以降も初参戦のゴールドシップ産駒が出走していればヒモ穴で狙ってみても面白いかもしれない。

 ③着アクアヴァーナルはエピファネイア産駒。同馬もロベルト系で稍重での勝ち実績があり、こういった馬場は苦にしないタイプ。ただし、エピファネイア×ディープインパクトの配合には菊花賞②着のアリストテレスやオーソクレースがいるようにスタミナ寄りだ。同馬も三千㍍の万葉Sを勝ち。もう少し距離があった方がいいタイプなのかもしれない。

 ④着はディープモンスター。ディープインパクト産駒は3連勝中だったが、今年は勝利とはいかなかった。開幕週の京都ということもあり、過去10年でディープ系は7勝。今年は馬場の影響が大きかっただけ。来年以降も天気が良ければ同系が中心なのは変わらないだろう。

毎日王冠はディープインパクト系が4連覇

 一方、東京は良馬場。こちらはシルバーステート産駒のセイウンハーデスが勝ち、23年から4年連続でディープ系の勝利となった。

 母の父はマンハッタンカフェでサンデーサイレンスの3×3と濃い目のクロスを持つ配合。大箱の東京を得意としており、昨年は同舞台のエプソムCでレコード勝ちを挙げている。昨年の天皇賞・秋は勝ち馬と0秒4差⑦着、今年の安田記念はタイム差なしの④着。距離の長かった昨年のジャパンCを除けば、GⅠでも大崩れなく走れている。今年も天皇賞に出てくれば注意が必要な一頭になりそうだ。

 ②着はホウオウビスケッツでこれで3年連続での②着だから相性は悪くないのだが、母ホウオウサブリナはマンファス(キングカメハメハの母)3×2という強烈なクロスを持っている。このクロスがあると持続力勝負に強くなりやすい。父がデピュティミニスター系マインドユアビスケッツでもある同馬も、前に行ってしぶといタイプ。開幕週の馬場も味方に逃げ切りを図ったが、最後で差されたのは決め手の差。函館記念を勝っているように、ベストは小回りコースだろう。

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