一口馬主 募集価格3000万円の馬が大化けする

公開日:2021年5月5日 17:00 更新日:2021年5月5日 17:00

■サラリーマンもGI馬オーナーに

 アーモンドアイは、ジャパンカップの優勝賞金3億円を加えて引退。総獲得賞金は19億円超で歴代1位だ。そんな“馬主孝行娘”はシルクレーシング名義。シルクはいわゆる一口馬主のひとつだから、競馬ファンもスターホースの馬主になれるわけだ。

「サラリーマン時代、シーザリオやロードカナロアをそれぞれ1口持っていました。競馬ファンもGⅠ馬のオーナーになる可能性は十分です」

 こう言うのは、競走馬の生産を手掛けるシグラップ・マネジメント社長の杉浦和也氏。野村系やメリルリンチ系の資産運用会社に勤めていた頃、一口クラブのほぼすべてに加入。馬好きが高じてセカンドライフは馬産の世界に飛び込んだという異色のキャリアを築く。そこで、杉浦氏にプロならではの一口クラブの楽しみ方を聞いた。

 一口クラブは、馬の権利を分割して会員が出資する団体で20ほどある。そのひとつがシルクだ。アーモンドアイの募集価格は3000万円で、募集口数は500口。賞金女王の出資金はわずか6万円だった。それが2歳から5歳までの4年間に本賞金だけで1口当たり383万円を稼ぐ。実際に手にするのは手数料などを除いた6~7割だが、一口オーナーは魅力たっぷりだ。

 上の表は、昨年の獲得賞金トップ10のクラブを募集口数の少ない順に並べたもの。シルクやサンデーなど規模の大きいクラブは毎年80頭前後、ノルマンディーやウインなど中規模でも同40頭を募集する。どうやってクラブや馬を選ぶか。

 まずは自分のスタンスを決めることだ。アーモンドアイのような大物を持ちたいのか。それとも趣味で馬主気分を味わいたいか。どちらを選ぶかで、クラブ選びが変わってくるという。

「中央のGⅠはノーザンファーム(NF)の生産馬が目白押しですから、GⅠ馬の馬主になりたければ、まずNF産馬を扱うクラブを選ぶのが一番です。その中心が『サンデー』『キャロット』『シルク』の3つ。『東京HR』や『DMM』などもNFから馬を仕入れていて、NFとの結びつきが強い。GⅠを狙うならこの辺りです。趣味で楽しむなら、『ラフィアン』や『ノルマンディー』『広尾レース』などランニングコストが安くて、コンスタントに2、3勝馬を出すクラブです」

 クラブに入会するには1万~3万円ほどの入会金が必要だ。送付されたカタログを吟味して希望する馬を申し込み、抽選に突破すると、出資する口数に応じた出資金を払う。40口の「サンデー」だと、1口当たり25万~300万円ほど。それが500口の「シルク」だと、同2万~30万円ほどに下がる。

 入会後のランニングコストで毎月必要なのは、月会費と馬の維持費。馬の保険料は年に1回請求される。維持費は厩舎への預託料や育成費、輸送費などで、大体月60万円。これを口数で分割すると、40口なら1口当たり1万5000円、500口だと同1200円。募集価格の3%程度の保険料も口数で分割だ。

「一口クラブに入会すると、複数の世代で3~5頭くらい持つのが一般的。出資金のほか、維持費と保険料は頭数分だけかかるので、40口分割だとランニングコストも重い。自分の予算とコストのバランスは大切です」

 では、低予算で“打ち出の小づち”を見つけるには、どうするか。

■賞金ランクトップ10に億超えホースはゼロ

 ひとつは募集価格だ。

「有力クラブの高額馬は母の競走実績が高い上、種馬も優秀だから価格が高い。もちろん、血統は大切ですが、単純に募集価格だけでチェックすると、獲得賞金が大きい馬は意外と安い馬に多く、募集価格3000万円前後が狙い目なのです」

 賞金ランク10位のうち6000万円はオルフェーヴルだけ。4000万円もブエナビスタで、ほかは3000万円前後に集中する。杉浦氏が一口持っていたロードカナロアの募集価格も2625万円だった。

■種付け料600万円までの種牡馬から選ぶ

 ディープインパクトの種付け料は年々上がり、晩年は4000万円に到達した。ディープ産駒が高額なのは、種代の高さゆえだ。そこで種付け料が比較的安い新種牡馬や評価が確立されていないキャリアの浅い種牡馬の産駒がお薦めだという。

「たとえばエピファネイアの初年度産駒の種付け料は250万円で、初年度からデアリングタクトが牝馬3冠を達成。次の世代のエフフォーリアは共同通信杯を勝つなど、産駒が大成功したため、エピファネイアの種付け料は今年、1000万円です。この種付け価格で良質な母系だと、一般に一口クラブでの募集価格は5000万円を超えます。良質な母系で募集価格が3000万円程度になるのは、種付け料が600万円までの種牡馬。これが狙い目です」

 杉浦氏の“持ち馬”だったシーザリオは、父スペシャルウィークが生んだ3世代目。生まれた年に初年度産駒がデビューし、父の評価がまだ低かった。600万円でスタートした種付け料は翌年100万円ダウンだ。そんな流れから、偉大な母の募集価格は1400万円で済んだ。

「芝での注目は2頭。種付け料600万円のサートゥルナーリア産駒はマイル以下、中長距離なら同300万円のフィエールマンの産駒は面白いと思います」

■低コストで長く楽しむならダート馬を

 芝適性の馬が第一線で活躍するのは大体5歳まで。ダート馬は息の長い活躍が見込めるという。

「有馬記念やジャパンカップの賞金3億円を筆頭に、芝のGⅠ賞金は破格ですが、稼働期間が短いし、GⅠを連勝するのはとても難しい。一方、ダート馬は7歳、8歳と稼働期間が長い。そのためレースを重ねているうちに“チリ積も”で1億円ホースになることは珍しくありません。ホッコータルマエやコパノリッキー、現役馬ではオメガパフュームなどがその典型。あんなタイプを一口クラブで指名するのはお勧めですね」

 ダート向きの種牡馬でお薦めは3頭。種付け料100万円のゴールドドリーム、同150万円のコパノリッキーとルヴァンスレーヴだという。

「これらの産駒で出世すれば、中央のGⅠであるフェブラリーSとチャンピオンズCで勝ち負けでき、なおかつ大井の帝王賞や東京大賞典、船橋のダイオライト記念などで活躍できるようなタイプに育つはず。ダートのマイル~二千の距離でポジションを得ると、地方交流レースで結構稼ぐことができるのです」

 1000口を超える募集は「DMM」のほか、「広尾レース」などもある。口数がシルクなどよりさらに多く、コストが安い。これらで厚めに買うのも狙い目だという。

「『「DMM』や『広尾』は矢作師や須貝師、池江師ら関西の有力厩舎に入るケースがあり、注目です」

 ラフィアンなどで1000万円クラスの馬だと2勝クラスでトントン。現実をとるか、大きな夢を見るか。いずれにしても、楽しみが膨らみそうだ。

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