アッと驚く中央競馬10大珍事件
公開日:2021年5月4日 17:00 更新日:2021年5月4日 17:00
■馬インフルエンザが有馬記念を直撃
新型コロナウイルスが猛威を振るう昨今だが、1971年冬に馬のインフルエンザが流行。ニュージーランドから持ち込まれたウイルスが競走馬を襲った。同年有馬記念は当初9頭立てだったが、直前に感染した3頭が出走取り消し。史上最少の6頭立てとなった。取り消しの中にはファン投票1位のアカネテンリュウ(菊花賞馬)や1番人気確実だったメジロアサマ(前年秋の天皇賞馬)もいた。翌年の有馬記念②着を最後に引退したメジロアサマは種牡馬となったが、受胎率が低かった(産駒19頭)のはインフル治療薬の副作用といわれている。
■中山大障害で本命馬に濃硫酸
1972年6月4日の中山大障害のパドック。ダテハクタカが突然暴れだし、競走除外に。右目周辺にかかっていた液体を調べると濃硫酸と判明。4連勝中のダテハクタカは断然の1番人気。競走能力を失わせることで、ダテハクタカを外した馬券を当てようとしたファンの犯行ではないか、と警察が捜査に乗り出したが、犯人は捕まらなかった。
■障害Rでカラ馬が逆走で衝突
1976年2月15日の東京競馬場での障害未勝利戦でのこと。4コーナー最初の障害で落馬したゼノンブイはカラ馬のまま走ると、向正面でUターン。最後の直線で馬群に突っ込んだ。
避け切れなかったアルブレヒトと正面衝突。両馬とも大けがを負った。
■イチモツを出したまま新馬勝ち
1999年10月10日。東京競馬場3歳新馬戦のパドック。1番人気のゼンノエルシドがイチモツを勃起させたまま周回していた。競馬の世界では「馬っ気を出す」といって、レースに集中できず、競走能力に影響するといわれている。エルシドはコースに入っても興奮が収まらず、「馬っ気」を出しながら①着でゴール。5歳(現4歳)になってマイルCSに勝つなど活躍。2002年に引退、種牡馬になった。ちなみに新馬戦で騎乗した岡部幸雄はレース後、「いいものを持っている」とコメントした。
■覚醒剤所持「天才」の逮捕
田原成貴といえばGⅠ14勝を含む通算1112勝のトップジョッキー。華麗かつ大胆な騎乗で騎手仲間からも「天才」と言われた。1999年に調教師になったが、そこから転落劇が始まった。
2001年10月8日、羽田空港で刃渡り約20センチのナイフを機内に持ち込もうとして、銃刀法違反(所持)の疑いで逮捕。上着に覚醒剤の水溶液が入った注射器を持っていたことも発覚。覚醒剤取締法違反(同)容疑でも逮捕された。
懲役2年、執行猶予3年の判決を受け、調教師資格も剥奪、競馬界から姿を消した。
■靴を履かずに騎乗
2014年11月15日の東京競馬場の6レース。短期免許で来日のピエールシャルル・ブドー騎手(仏)が靴を履かず、靴下だけでノワールギャルソンに乗った。馬の負担重量は55キロ。身長173センチのブドーは予備検量で100グラムオーバー。靴を脱いでどうにか最終検量をパスした。JRAに「騎乗は靴を履いて」の規則はないが、「騎手の注意義務違反」で戒告処分となった。ブドーは12番人気のノワールを②着に導いた。
■自動券売機故障 17万円パーで訴訟
「カネと投票券を入れたのに馬券が出てこない」で訴訟になったのが2002年8月11日の小倉競馬場8レース。大阪の会社役員が「ウインズ道頓堀」でカネと投票カードを入れて馬券を買おうとしたが、券売機が紙詰まりを起こし勝馬投票券が出てこない。担当者を呼んでその旨を伝えたが、結局、馬券は出てこないままレースはスタート。男性は計1万5000円を投じて7通りの馬券を購入しようとしていた。
レースは①着4番②着13番で決着。配当は馬単1万7150円。男性は4番↓13番の馬単を1000円買うはずだった。「カネと投票券を入れた時点で馬券購入契約は成立していた」と男性は配当金分などの損害賠償を求める訴訟を起こした。JRAは「機械の異常は発生することがある」と反論。翌年7月30日、大阪地裁で判決が言い渡され、「馬券の購入契約は成立していない」と原告男性が敗訴。男性は控訴の方針だったが、JRAが機械の保守点検を徹底するなどで和解した。
■史上最多9頭大落馬事故
史上最多の9頭が落馬したのが2010年1月11日の中山競馬場4レースのメイクデビュー(ダート1800メートル、16頭)だ。
三浦皇成騎乗のノボプロジェクトがハナを奪うとそのまま直線へ。ここでノボプロジェクトが斜行。その左後肢が2番手で追う勝浦正樹騎乗のフォルメンの右前肢に接触。フォルメンが落馬した。各馬はラストスパートをかけ、一群になっていた。後続馬もよけ切れずにアッという間に9頭が落馬。骨折の重傷など6人の騎手が負傷。ノボプロジェクトは①着でゴールしたが走行妨害で失格、三浦は4日間の騎乗停止処分となった。
■「誤審」で捨てた馬券が万馬券
「どうしてくれるんや!」
ファンが払い戻しの窓口に押し掛けたのは1986年5月31日の阪神競馬場。4レースの14頭立て未勝利戦は3頭が鼻ヅラを揃えてゴール。7分後、5枠7番、4枠6番、5枠8番の順で確定。枠番連勝の配当は(4)(5)で8590円だった。レース直後、「②着と③着の着順がおかしい」とファンが騒ぎ出し、詳細な写真で再確認したところ②、③着馬の着順が逆と判明。結果を公表し、枠連(5)(5)も的中として払い戻しに応じたものの、レースから約3時間後。場内では捨てた当たり馬券を捜してゴミ箱がひっくり返されたり、梅田の場外馬券売り場にもファンが殺到。
当時は審判委員が目で着順を確かめ、ネガ写真で着順を決定。この時は3頭が重なってゴールし、馬のゼッケンが確認できず、間違いが生じた。枠連(5)(5)は2万3430円。ゴミ箱からは3枚の当たり馬券が出てきた。
■新人騎手がゴールを間違え最下位に
「もう1周あるぞ!」
怒声にハッとした時は遅かった。2018年10月13日の新潟競馬場6レース。2番人気のペイシャエリートに騎乗した新人騎手の山田敬士は1周目の4コーナーで鞭を入れると先頭でゴール板を通過。「勝った」と思った山田は手綱を緩めて減速したが、レースはダートの2500メートル。あと1周残っていた。
「距離は分かっていたが、ハナ(先頭)に行くのに必死で忘れてしまった」と山田。2度目のゴール板を通過した時は最下位の⑫着。山田は3カ月の騎乗停止処分を受けた。