【有馬記念】道中は内、直線は外へ リスグラシューVは馬を信じていたレーンの好判断
公開日:2019年12月23日 17:00 更新日:2019年12月23日 17:00
暮れの大一番、グランプリ有馬記念を締めたのは牝馬は牝馬でもリスグラシューだった。
「とんでもない手応えだった」
レース後の勝利ジョッキーインタビューでそう話したのは鞍上レーン。その言葉通り、最後は②着以下にはなんと5馬身差をつけていた。
このハイパフォーマンスはレーンなしではなし得なかったか。
リスグラシュー=レーンの初コンビが実現したのは2走前の宝塚記念。“予想外”の2番手からの先行策で制すると、前走の豪州コックスプレートでは直線173メートルの小回りで後方からひとまくり。巧みに操って勝利に導いてきた。
その2戦で完全にリスグラシューの脚、特性を把握し、手の内に入れていたところが“天才”と評されるゆえんだろう。
今回は好スタートを決めると、迷わずインへ。ライバル、アーモンドアイを左前方に見つつ、なおかつロスなく進めるうまさが光った。
そして、直線の進路取りも実に大胆。スペースができたと見るや、インから一気に大外へ。先に抜け出していたサートゥルナーリアに残り1Fで追いつくと、早々と勝負あり。まさに圧勝で、牝馬としては史上初めて同一年の宝塚記念、有馬記念と両グランプリ制覇の大偉業をやってのけた。まさにレーンさまさまといったところか。
鞍上の腕もあったとはいえ、リスグラシューも急激に成長している。昨秋に8度目のGⅠ挑戦だったエリザベス女王杯でようやく勲章を手に。5歳の今年は国際GⅠ、有馬記念を含みGⅠ3勝を上積み。JRA年度代表馬の座も濃厚になった。
だが、クラブ法人・キャロットFの馬で、もともと6歳3月までに引退→繁殖入りが決まっている。
もちろん、次の仕事も大事だが、もっと完成されたリスグラシューの走りを見たいファン心理もあるだろう。
これがラストランというのは、なんとももったいない気もするが……。