【菊花賞】武豊ワールドプレミアで5度目のV まだまだ主役は譲らない!

公開日:2019年10月21日 17:00 更新日:2019年10月21日 17:00

 やはり千両役者だ。

 20日の菊花賞をワールドプレミアで制した武豊だ。同馬を管理する友道師も「さすがユタカ。ひと言でジョッキーが上手でした」と脱帽する完璧な騎乗ぶりだった。

 菊花賞コースの京都三千メートルは、3角の坂を“ゆったり上り、ゆったり下る”のが定石。それを発馬後、2周目と2度迎えるから、道中のロスをいかに防ぐかが鍵となる。

 好枠5番を生かし切った騎乗でもあった。発馬を決め、7番手のインで折り合いもピタリ。前に1番人気のヴェロックスを見る“理想すぎる”レース運びなら、2度目の坂の下りもそう。仕掛ける他馬を尻目にワンテンポ追い出しを遅らせている。このひとタメが最後の伸びにつながったのは言うまでもない。明確に鞍上の手腕が導いた勝利でもあった。

 これで名手の菊制覇は5度目。7月に天へと旅立ったディープインパクトの子で勝利しているあたりが心憎いが、記録にも残る1勝ともなった。

 自身のGⅠ初勝利が88年の菊花賞。スーパークリークであり、これは昭和最後の年。平成に入って、96年ダンスインザダーク、00年エアシャカール、05年ディープインパクトで3勝。そこから14年後の今年が令和初。JRA初の3元号でのGⅠ制覇だから記録に愛されているという他ない。

 その武豊は、きのうが50歳7カ月と6日。菊花賞の最年少と最年長Vの記録が、今年の92勝目ともなった。10年以降、ケガや騎乗馬の関係もあって、年間100勝に到達したのは15年(106勝)のみだから、久々の100勝が見えてきた。今年はエージェント(騎乗依頼仲介者)を替えて心機一転。勝ち星を伸ばす中でのGⅠ勝利だ。

 まだまだ主役は若手、外国人騎手には譲らない――。そんな名手の意地を感じるきのうの菊花賞Vでもあった。

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