データ室・武田記者のラップと馬場差を徹底分析する

東西GⅡが両極端な結果だった理由

公開日:2019年10月8日 17:00 更新日:2019年10月8日 17:31

 181万馬券の10分後は3連単1000円ちょうどの超ガチガチ決着。東西の古馬GⅡはかなり極端な結果となった。

 ただ、この結果も分からないでもない。京都大賞典の結果が予想できる範囲というわけではないが、これがGⅠ級の馬とわずかに手が届かない馬の差だろうか。

 毎日王冠は①着ダノンキングリー。確かにこの馬も春のGⅠは勝てなかった。だが、土曜発行のコラムで書いたように、「グレード制導入後、初の春2冠をタイム差なしで負けた馬」。“準GⅠ馬”である。そして、②着アエロリット、③着インディチャンプは東京のGⅠ馬だ。

 一方、京都大賞典で人気になっていたグローリーヴェイズ、エタリオウはともにGⅠ②着があっても、重賞タイトルはグローリーがGⅡ1勝、エタリオウは周知の通り、ゼロである。GⅠを勝つ馬とそうでない馬とは、大きな隔たりがあるのかもしれない。

 大波乱の京都は内容にも不満がある。開幕週ということを考慮すると、二千四百メートル2分23秒5の時計はさほど目立たないし、上がり34秒台の脚を使ったのが2頭だけ。エタリオウが後方で脚をためてためてで34秒8だから、収穫に乏しい気がした。

 毎日王冠は予想通りアエロリットの逃げ。半マイル通過が47秒0ならスローでいいだろう。

 そのアエロリットが②着に粘り、2番手インディチャンプが③着という前が残る流れを、出負けしたダノンキングリーは外から一気に差し切ったから、どっちが古馬か分からないレースぶり。後半5F57秒4の速さにもかかわらず、ダノンはこの時点で6馬身は後ろ。56秒台後半の脚は、「いつGⅠを取っても不思議ない」というレベルの脚力だ。皐月賞、ダービーに続いて、今回も◎。まだまだ追い続けたい。

 GⅠを意識できるのは土曜のGⅢサウジアラビアロイヤルCを制したサリオスも。東京マイルで1分32秒7のレコード勝ち。近年、このレースでレコードVの馬は14年クラリティスカイ(この年は前身のいちょうS)、17年ダノンプレミアムだから、サリオスも相当な能力がある。

 また、このレースの記録が凄いのは「前半2F目と後半2F目(残り400~200メートル)で10秒台のラップが刻まれ、なおかつ時計が1分32秒台だった」こと。東京でこの例を探してみると、過去に1つだけあった。

 それはウオッカが勝った09年ヴィクトリアマイル。武豊騎乗で7馬身差のぶっ千切りの時だ。

 どっちも2F目、後半2Fが10秒8。さらに、そこからラスト1Fで11秒5の脚だから、脚力はすでにGⅠレベルに達している。

 姉と兄は全て父がディープインパクト。だが、父ハーツクライのこの馬が最も走りそうだ。もちろん、マイルが限界でも、ベストでもないだろう。こちらも追い掛ける価値ありとみた。

武田昌已

武田昌已

月~金は麻雀、土日はウインズだった学生生活を経て、入社後は編集一筋25年超。2015年春は何と9週連続重賞的中の快記録も達成し、2016年は春東京でGⅠ4連勝も。馬場の傾向、ラップの分析に定評がある。毎週、目黒貴子さんとその週の重賞解説の動画も公開中。

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