関屋記念は1番人気ミッキーグローリーが、9カ月ぶりを全く感じさせないロングシュートを決めた。レースの上がり3Fは34秒1で、ミッキーは32秒2をマーク。ラスト2Fは連続で10秒台の脚を使っているだろう。
ただ、勝ち時計は1分32秒1とそう速くない。これは01年に新潟が左回りになってからの19回で8番目。昨秋のマイルCSでは外を回って⑤着とGⅠでも通用する能力は示しているが、関屋記念はいわば普通の内容。②~⑤着が重賞未勝利馬という点も、そう高く評価できない理由になる。
一方、評価したいのは札幌のエルムS(写真)だ。
モズアトラクションの勝ち時計は千七1分41秒9。レコードには1秒差とはいえ、この数字が記録された17年のエルムS(勝ち馬はロンドンタウン)の日は重馬場で、最終レースの一千万条件でも1分42秒6だから、そもそも超のつく高速ダートだったのだ。
今年も同じ番組で、最終レースの大雪ハンデは1分44秒2。記録の価値自体は今年の方が上だと思っている。
特に今年はドリームキラリ、リアンヴェリテのダート逃げ馬2頭に、芝路線からマルターズアポジーが加わり、かなり速いペースが予想された。
マルターズはスタートで少しつまずき、3番手からとなった。それでも5F通過は58秒5。これでは場内もどよめいたはずだ。
今回、この展開、流れが予想できたから、◎はモズに。珍しいダートの末脚一辺倒のタイプで、これで4走連続、レース最速の上がり36秒台をマークしている。5歳の今年、相当に力をつけた一頭といえよう。
このレースは他にも評価すべき馬がいっぱい。
③着サトノティターンは580キロの体で小回りを克服。紅一点のレッドアトゥは初のオープンと思えない伸びを見せていたし、⑤着リアンヴェリテは行ってナンボのイメージを払拭した。
⑦着グリムには見せ場がなかった。これまでの交流重賞とは違って、距離短縮+テンから忙しい競馬。つまり、勝手が違ったということに尽きるか。
新潟では日曜に藤沢和厩舎が新馬を連勝した。将来性では千八を制した5Rの勝ち馬カトゥルスフェリスかもしれないが、現時点では6Rサンクテュエールに注目したい。
このレースは新潟千六の新馬にしては珍しく、13秒台のラップがない。それでいて、ラスト1Fが11秒3。「13秒台がなく、なおかつ1F11秒5以下」は08年のブレイクランアウト(翌年の共同通信杯馬)しかない。
サンクテュエールは11秒3を差し切り。先々週のウーマンズハートに続き、また新潟から楽しみな2歳牝馬が出てきた。
月~金は麻雀、土日はウインズだった学生生活を経て、入社後は編集一筋25年超。2015年春は何と9週連続重賞的中の快記録も達成し、2016年は春東京でGⅠ4連勝も。馬場の傾向、ラップの分析に定評がある。毎週、目黒貴子さんとその週の重賞解説の動画も公開中。