データ室・武田記者のラップと馬場差を徹底分析する

差し決着の2重賞で粘ったノーブルマーズとサトノギャロス

公開日:2019年8月6日 17:00 更新日:2019年8月6日 17:00

 小倉記念はメールドグラースがトップハンデの57.5キロをモノともしない差し切り勝ち。一方、◎アイスストーム、○アイスバブルは沈んだ。

 バブルの方は4コーナーの手応えが悪かったから納得でも、不可解だったのはストーム。レース直後はそう思っていた。だが、ラップが発表されてからある程度、納得がいった。

 というのも、前半4Fまでは48秒4と遅かったが、残り1000メートルを切ってから11秒5―11秒5―11秒6―11秒6。過去の小倉記念を見ても、後半5Fのスタートから11秒5が続くというのは一度もない。

 逃げたストロングタイタンに、ハナを奪いたかったタニノフランケルがプレッシャーをかけ、早めにペースが上がった。これにより、追走していた馬も知らず知らずのうちに脚をなくしたということか。

 実際、13頭立てで11番手にいたメールドグラースが勝ち、12番手カデナが②着。完全に追い込みの競馬である。このあたり、今年の川田は非常に冴えているといえる。

 そんな中、善戦は2番手グループにいて一時は先頭のシーンもあったノーブルマーズ。一瞬の切れではなく持続力を要求される競馬なら、この先もチャンスはありそう。新潟記念向きではなく、次走がオールカマー(相手は強いが……)あたりなら面白そうだ。

 新潟のレパードSも差し馬が上位に。外からサトノギャロスがダッシュを利かせ、ハヤブサナンデクンとハナ争い。2F目に10秒5が刻まれた。

 暑さが続き、パサパサの良馬場。含水率は2%ほど(ところによっては1%台)なのに、この2F目は良馬場の史上最速タイのラップだ。先行勢の脚が上がるのは当然の結末である。

 そういう意味ではいっぱいいっぱいになりながらも、0秒3差⑤着に粘ったサトノギャロスを高評価。初の千八にメドを立てたのも大きい。

 新馬戦では土曜5R、芝千六で8番手から差し切りを決めたウーマンズハートが秀逸。

 逃げたマルターズディオサが前半5F63秒5の超スローに落とした。この馬が上がり33秒3なのに、勝ち馬は一頭、次元の違う32秒0。この速い上がりで差して3馬身半千切るのは、性能が違い過ぎたということか。

 2歳戦の上がり32秒0は史上最速タイ。まだこの一戦だけでどうこうは言いづらいものの、大物の相はある。次走を楽しみに待ちたい。

 他では日曜小倉2Rで単勝1.8倍を裏切って⑥着のラルゲッツァ。2歳未勝利、芝千二のこのレースはこの馬がハナに行ったが、執ようなマークに遭い、前半3F32秒9のオーバーペース。千六2戦の後の距離短縮も響いたか。

 また、土曜札幌2Rの3歳未勝利、ダ千七はアドマイヤビーナスが4馬身差の楽勝で、1分44秒7をマーク。これは楽に1勝級の数字だ。

武田昌已

武田昌已

月~金は麻雀、土日はウインズだった学生生活を経て、入社後は編集一筋25年超。2015年春は何と9週連続重賞的中の快記録も達成し、2016年は春東京でGⅠ4連勝も。馬場の傾向、ラップの分析に定評がある。毎週、目黒貴子さんとその週の重賞解説の動画も公開中。

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