“夏は格より調子”の格言通り、ここは格下でも気配絶好のショウナンタイガを狙い撃つ。
先週、担当の瀬間助手がこう声をかけてきた。
「函館最終週の自己条件(函館日刊スポーツ杯)を除外されて泣きましたよ。でも、その分、乗り込めてデキを上げてきているんです。それだけに来週のUHB賞、格上挑戦なんですが使いたい。入りますかね?」
幸い賞金ラインをクリア、出走にこぎ着けた。
あらためて今週の雰囲気を聞くと、笑顔でこう返してくれた。
「追い切りで楽に好時計をマークできたし、間違いなく絶好調。除外されて良かったかも。短期放牧から帰厩して10日で競馬でしたから。よく考えたら、前走も薬物騒動でスライドしたことが吉と出たような気もします(笑い)」
アクシデントも活力に変えて、一気にオープンに駆け上がる。
「ベガはベガでもホクトベガ!」
93年エリザベス女王杯でホクトベガが①着でゴールに飛び込んだ瞬間の実況です。当時、浪人生でフラフラしていた自分にとっては衝撃的であり、今でも予想の根底に根付いています。
ベガはバリバリの良血馬で鞍上が武豊。牝馬3冠にリーチをかけていました。対して、ホクトベガは父がダート血統でベテランの加藤和を配したいぶし銀のコンビ。春2冠でベガに大きく後塵を拝したホクトベガに勝ち目はなさそうでしたが、見事にリベンジ。この“逆転劇”こそが競馬の醍醐味ではないでしょうか。
かつて作家の寺山修司氏は「競馬が人生の比喩なのではない、人生が競馬の比喩なのである」と評したそう。馬も人も生きている間はいつかの大逆転を狙っています。雑草でもエリートを超えるチャンスはあるはずと、きょうもトレセンを奔走しています。