【禁止薬物問題】JRAの英断の裏で厩舎関係者に怨嗟の声が

公開日:2019年6月17日 17:00 更新日:2019年6月17日 17:00

 始まりは何本かの電話からだった。

 14日(金)の16時ごろ各調教師からJRAの公正室に「グリーンカルから禁止薬物が出たとの報告で業者が回収したい、との問い合わせが来たんだが」との連絡が。確認を取ると、日本農産工業のサプリメント「グリーンカル」に興奮作用があるテオブロミンが含まれていたことが判明した。

 販売業者はJRAファシリティーズ、渡辺商店、市原商店、日本競馬飼料株式会社の4社。現時点で美浦6厩舎、栗東22厩舎に納品されていた。

 この計28厩舎から、土日に156頭が出走を予定していたが、検体には時間的猶予がなく公正競馬の確保ができないと判断。裁決委員の権限で競走除外となったわけ。

 グリーンカルは20年以上も前から販売されている。ただ、「ロット」という単位で製造のたびに競走馬理化学研究所で検査をするのが通常。今回は18年12月~19年5月に出荷した分が未検査のまま流通した。

 どのタイミングで厩舎に来たかは現時点では不明だが、先週まで競馬を使ってきた馬も摂取していた可能性は否定できない。ただ、レース後の①~③着馬に対して行われる尿検査で引っ掛かった馬はいなかった。

 日本農産工業のホームページには「競走馬理化学研究所の検査を実施しており……」との記載がある。なぜこのようなことになったのか。どこで誤りがあったのか。現時点での調査では掴めていないが、「ロットごとに検査というのが守られていれば、と思います」とは東京開催の裁決委員である庄村之伸氏。どこかに“緩んだ”部分があったのは間違いない。

 該当厩舎で今週、使う可能性のある馬は全馬、血液検査を実施。個体にもよるが、2~3日から10日ほどで抜ける。つまり、“シロ”であるための確認検査だ。現在、販売業者が自主回収しており、このまま事態は収束に向かうのだろう。

 今回の156頭の除外はJRAが情報を隠蔽せず、すべて公表した点で“英断”と見る向きが多い一方、“疑わしい”馬を問答無用に除外にして、関係者から怨嗟の声が上がった。

 函館スプリントSで1番人気が濃厚だったダノンスマッシュを管理する安田隆調教師は金曜深夜に除外を伝えられ、「こっちが被害者です」と怒りをあらわにしていた。JRAの関連会社から購入し、「ハイ、使っているのなら除外ね」では、当然である。

 結果、JRAは大きな痛みも伴った。大幅な売り上げ減だ。

 土曜は3場の合計で前年から15億も減り、日曜は函館スプリントSが7頭立てになった影響で、前年の43億2880万8700円から27億2416万6700円に。このレースだけで16億も落ちている。

 早い対処によってレース後に“アウト”となる馬は出なかったが、この薬物問題は副作用も大きかった――。

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