データ室・武田記者のラップと馬場差を徹底分析する

強烈な上がりだったエプソムCで見直したいのは

公開日:2019年6月11日 17:00 更新日:2019年6月11日 17:00

“まさか”の上がりだ。エプソムC(写真)は11秒0―10秒8―11秒1で3F32秒9。後ろにいては手も足も出ない競馬である。

 レース前、雨が強くなった。狙ったのは道悪のうまいカラビナ。「これはいいな」と思った。

 ただ、典型的な逃げ馬不在のメンバーで、テンの1Fが13秒5。平成の芝千八重賞で2歳戦を除くと、最も遅い数字だ。

 最初はそのせいで「レイエンダが前めにいる。しかも、いつになく行きっぷりがいい」と思いつつ見ていた。結果、前半5F63秒9という2歳新馬戦のようなペースになり、この馬の2番手は絶好位。ルメールの判断が光った。

 この行きっぷりの良さは、急きょ着用したチークピーシズによるものか。一般論として効果はブリンカーより低いといわれるものの、ここまでガラリと変わると、ある問題が生じる。

 そう、ブリンカーは発表があってJRAの出馬表や新聞に載るが、チークはない。ましてレイエンダの場合は、黒鹿毛の馬体に黒っぽいチーク。言われてから写真を見ても気づきにくい。

 最近の例でいえば5月4日の邁進特別を圧勝したライオンボス(次走、オープンの韋駄天Sも逃げ切り勝ち)も、この時が初チークだった。そろそろ事前の発表を考えてもいいのではないか。

 さて、そのエプソムCだが、雨馬場なのに上がり32秒9という超特殊な条件。多くの馬が力を出せずに終わった。

 中でも最も見直したいのは⑦着のアンノートルだ。前走の湘南S勝ちがこれまでにない内容で、今回は▲として注目していた。ただ、前走の上がり33秒2を上回る33秒1の脚でも、0秒7差までが精いっぱい。今回は2歳時以来、久々の重賞挑戦でもあり、オミットしていい。

 また、◎カラビナもこの距離で上がりだけの競馬だと適性の差が出てしまう。強くなっているのは間違いなく、得意の長距離なら狙っていける。

 ダートでは土曜12R3歳上1勝クラス、千三で1番人気を裏切って⑨着だったアシャカマキシンをピックアップしたい。

 通常、ラップは競走距離が短いほど、前半が速くなりやすい。しかし、コースの造りによってはそうでない場合も。

 東京のダートは千六のスタート地点から残り1200までが下り坂。そこから3コーナーに向かって、少し上る形態になっている。

 つまり、千三だといったん下がってすぐ上り、しかもコーナーが近い分、ペースが上がりにくい。一方、千六は400メートルも下る上に、スタート地点は芝。加速がつきやすい。千三より千六の方がオーバーラップが多いのはそういう理由。

 それを踏まえると、アシャカの5F58秒4は重馬場としてもかなり速いラップ。初の古馬相手で初距離。やや過剰人気だったか。

 だが、小回り福島の千百五十メートル、新潟の千二なら見直せるはず。スピードは1勝クラスでも最上位のものがある。

武田昌已

武田昌已

月~金は麻雀、土日はウインズだった学生生活を経て、入社後は編集一筋25年超。2015年春は何と9週連続重賞的中の快記録も達成し、2016年は春東京でGⅠ4連勝も。馬場の傾向、ラップの分析に定評がある。毎週、目黒貴子さんとその週の重賞解説の動画も公開中。

著者詳細、記事一覧へ

最新記事一覧

  • アクセスランキング
  • 週間