データ室・武田記者のラップと馬場差を徹底分析する

オークス②着激走 カレンブーケドール実に強い競馬

公開日:2019年5月21日 17:00 更新日:2019年5月21日 17:00

 まさに“レコード・ラッシュ”である。

 先々週、土曜の京王杯スプリングCで千四1分19秒4が出て、翌日曜にはヴィクトリアマイルでノームコアが驚愕の1分30秒5をマーク。

 そして先週のオークス(写真)でも、ラヴズオンリーユーが二千四百メートル2分22秒8のオークスレコードVだ。

 いや、単なるオークスの最速ではない。ダービーのレコードが15年ドゥラメンテの2分23秒2だから、それすらも塗り替えている。あまりにも時計が出やすい馬場の影響で、どうもレコードというものに重みが感じられない。昭和の終わり、平成の初めは驚きがあったものだが……。

 そのオークス。12番人気で②着したカレンブーケドールの激走には多くのファンが驚いたと思うが、記録的には勝ち馬より強い競馬をしている。

 4番手から残り400メートル、つまり2000メートルの地点で先頭に立った。このラップが1分58秒9の速さ。2200メートルは2分10秒5。結果的には仕掛けが早かったのかもしれない。それでも桜花賞③着クロノジェネシスに2馬身半差をつけており、内容は超立派。実に惜しい競馬だ。

 さて、勝ったラヴズオンリーユーはゴールを過ぎてから、なかなか帰ってこなかった。とにかくゆっくりゆっくり。その影響でレースが確定したのは3時55分ごろ。あれだけの時計で走ったのだから当然、大きなダメージが残ったのか。

 取り越し苦労であってほしいが、もともと体質が弱かった馬。まずは無事に秋を迎えてほしい。

 ダートからは土曜6R3歳五百万の二千百メートルに注目する。トイガーの勝ち時計は2分12秒8。過去10年の3歳限定戦で良馬場としては2番目タイの時計で、実際にこの日の古馬一千万条件、是政特別に0秒8差だ。年齢差、クラス差を考えるとなかなか優秀といえる。

 先週で終わった新潟開催では、このコラムでも取り上げたライオンボスが何といっても衝撃的だった。5月4日の邁進特別は54秒1の好時計で逃げ切り、ラスト1Fは11秒1。単勝万馬券に近い2戦連続⑯着の馬が、千直替わりで5馬身差の圧勝とガラリ一変した。

 2戦目は中1週で先週日曜の韋駄天Sに登場。いくらハンデが53キロと軽いとはいえ、今回もいい記録を作ってくれた。

 時計は53秒9とさらに0秒2縮めたばかりではない。同じ逃げ切りでも前走はテンの3Fが11秒7―10秒4―10秒5で32秒6。ところが、今回はカッパツハッチがついてきたため、11秒8―9秒9―10秒2で31秒9。それでも鮫島駿は最後にインの脚色を確かめるくらい余裕があった。

 前半3F31秒台での逃げ切りは、10年アイビスSDのケイティラブしかいない。31秒8で飛ばして勝ち時計は53秒9だから、ほぼ同じである。

 オジュウチョウサンの和田郎厩舎から、今度は千直のスターが誕生か。

武田昌已

武田昌已

月~金は麻雀、土日はウインズだった学生生活を経て、入社後は編集一筋25年超。2015年春は何と9週連続重賞的中の快記録も達成し、2016年は春東京でGⅠ4連勝も。馬場の傾向、ラップの分析に定評がある。毎週、目黒貴子さんとその週の重賞解説の動画も公開中。

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