データ室・武田記者のラップと馬場差を徹底分析する

ダノンプレミアムは名前通り“プレミアム”

公開日:2019年4月23日 17:00 更新日:2019年4月23日 17:00

 春の東京、京都が始まると一気に気分が高揚する。やはり緑一色の芝を見ていると、それだけで気持ちがいいからか。

 中でも京都は冬の1、2回開催は芝の状態がイマイチで、非常に重い感じだった。だが、阪神2開催の期間、たっぷりと時間があったことで劇的に回復している。

 それにしても、時計の速さは驚異的。マイルで1分32秒台は当たり前のように出るし、二千二百メートル2分9秒7のレコードも飛び出した。

 そんな馬場で行われたマイラーズC。ここは逃げ馬不在で「極端に上がりが速くなるだろう」とは思っていたが、上がり32秒3という数字にはア然。当然、後ろの馬は31秒台の脚じゃないと届かない計算になるから、逃げたグァンチャーレが残って、2番手のダノンプレミアムが勝つのも道理である。

 とはいえ、2歳時のサウジアラビアRCでは稍重で半マイル46秒1のハイペースを2番手で、今回は超高速馬場の48秒5という緩い流れでも同じ競馬。よっぽどの超ハイペースに巻き込まれるとかでもない限り、マイルで負けるシーンが思い浮かばない。名前の通り、プレミアムな馬だと思う。

 グァンチャーレは勝ち馬には完敗でも、普通なら勝っている競馬。それよりも少し驚いたのは③着に食い込んだパクスアメリカーナだ。

 クロフネ産駒、とりわけ牡馬は、切れ味勝負に強くない傾向があり、新潟の直線競馬を除き、これまで上がり32秒台の脚で勝った馬は一頭もいない。

 ヨーイドンの展開なら「切れ負けする可能性が大」とみていた。それがインディチャンプに競り勝ったのだから立派。GⅠではさておき、GⅡ以下なら常に要警戒の存在だ。

 さて、東京はオークスTRのフローラS。01年以降、レディパステル、サンテミリオンと2頭の勝ち馬しか出していない前哨戦だが、②③着は6頭ずついる。つまり、馬券になる馬は意外なほど多いのだ。

 今年の①②着も面白いか。二千メートル1分59秒5の時計はレースタイレコードでも、あまりにも馬場が速いから、それ自体は決して価値があるとは思わない。

 ただ、勝ったウィクトーリアの脚は強烈。逃げると思っていたのにスタートが悪く、後方12番手から。「ダメだな」と半ば諦めていたところ、外から伸びてきたのには驚いた。逃げて2勝、控えて2敗だった馬のイメージを大きく覆しただけでなく、上がり33秒2はこのレースで史上最速。勝った馬に限らず、である。

 また、②着シャドウディーヴァはその前のフラワーC④着以外はすべて東京で出走。今回を含めて5走すべてが上がり33秒台だ。

 この2頭、オークスでかなり魅力を感じる。

武田昌已

武田昌已

月~金は麻雀、土日はウインズだった学生生活を経て、入社後は編集一筋25年超。2015年春は何と9週連続重賞的中の快記録も達成し、2016年は春東京でGⅠ4連勝も。馬場の傾向、ラップの分析に定評がある。毎週、目黒貴子さんとその週の重賞解説の動画も公開中。

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