オーシャンSで②着に敗れたナックビーナスと大野のコンビ。悔しさを表に出すかと思いきや、意外にサバサバとした表情で上がってきた。
それは本番である今回へ向けて手応えを掴んだからに他ならない。
振り返れば、担当の永井厩務員も戦前、「次勝てばいいから(笑い)」と、ここへのおつり残しを暗に示唆していた。
陣営の思惑通り、この中間、気配は急上昇。
ポリトラックで行われた今週の追い切りは圧巻だった。5F63秒2―36秒2、1F11秒9の猛時計を馬なりでたたき出す“A”評価の超抜の動きを披露した。
陣営は万全の態勢を整えた。鞍上もそれに対して、最高の答えを出すべく力が入っている。
「今、すごく充実してる」
――オーシャンSは抜群の格好で4コーナーを回ってきたので、勝てるかと思ったんですが。
大野騎手「自分もです(苦笑い)。1週前の追い切りで、少し感じた重さが影響したのかもしれませんね。それでも使うごとに体を使えるようになってきたし、バランス良く走れるようにはなってきたんですよ。効率良く走って、体をうまく縮められるようにもなりましたし」
――モズスーパーフレアは速いですよね。捕まえられますか。
「自分の感触としては逆転できると思ってます。(ナックが)まだ良くなりそうな感じでしたからね。まあ、相手はモズだけではありませんけど(笑い)」
――どのようなイメージで乗りますか。
「気持ち重視で競馬を組み立てていきたいですね。集中力を切らせてしまう時があるので。行けたら行ってもいいかなとも。臨機応変に考えて行きますよ。今、すごく充実しているので、うまく持っていけたらチャンスはあるでしょう」
――デビュー時に所属していた杉浦厩舎の馬でGⅠ挑戦というのも、思うところがあるのでは。
「それはもちろん。師匠である杉浦先生の所属馬というのは意識しないわけはありませんよ。ジョッキーとしての基礎を教えていただいた杉浦先生や、支えてくれたスタッフにGⅠのタイトルを届けたいと思っています。チャンスのある馬でこんな機会をいただけるなんて、めったにないですからね」
千二で勝ち星量産
大野は先週までJRAで509勝をマークしている。その主な距離別は次の通りだ。
千=19勝 千二=104勝
千四=44勝 千六=78勝
千七=42勝 千八=124勝
二千=46勝 二六=12勝
千八に次いで千二が多い。14年スプリンターズSでは13番人気スノードラゴンとのコンビで、自身にとってうれしいGⅠ初勝利となった。
今年の14勝中、4勝もこの距離。また先頭ゴールといきたい。