この年は特に海外に関する話題が多い。
エルコンドルパサーが凱旋門賞制覇を目指し、長期のフランス遠征を敢行。5月のイスパーン賞こそ②着だったが、7月のサンクルー大賞でGⅠ奪取を果たすと、前哨戦のGⅡフォワ賞も制した。
期待が高まった本番では果敢な逃げ。しかし、最後はモンジューにゴール前で差されて半馬身差の②着惜敗だった。
当時は相手に有利な記録的な不良馬場。③着以下は6馬身も離しており、「この年はチャンピオンが2頭いた」といわれたほど。モンジューのハモンド師からは「おそらく硬い馬場だったらかなわなかっただろう」とのコメントも出ている。
同日、アグネスワールドがGⅠアベイ・ド・ロンシャン賞に勝利。日本では函館3歳S、全日本3歳優駿しか重賞勝ちのなかった馬が海外でGⅠタイトルを得たことは衝撃的だった。
日本馬が海外で活躍する一方、地方馬によるJRAのGⅠ制覇という偉業もあった。“岩手の怪物”メイセイオペラである。
前年、地元・水沢のマーキュリーCで中央のパリスナポレオンに7馬身差をつける圧勝を演じ、盛岡の南部杯ではタイキシャーロックに3馬身差。暮れの東京大賞典では船橋のアブクマポーロに敗れたが、フェブラリーSでは2番人気に。ここでもエムアイブランに2馬身差をつけた。
以降、これまで78頭がJRAのGⅠに挑んでいる。だが、②着は5回あっても先頭ゴールはない。
有名なところでは16年皐月賞、ジャパンCで銀メダル2つのコスモバルクか。また、23年には“南関東の雄”フリオーソがM・デムーロとのコンビでフェブラリーSに参戦。芝の部分で行き脚がつかず、猛然と追い上げたが1馬身半及ばなかった。
地方による最も惜しい②着は“岩手の怪物”と同じこの11年。朝日杯3歳Sで1番人気に支持された笠松のレジェンドハンター。鞍上は“JRAを動かした男”安藤勝己である。