1月17日の阪神・淡路大震災は競馬にも大きな影響を及ぼした。
阪神競馬場がコースに亀裂が入るなど大打撃を受けて、12月の開催以外は全て京都、中京に振り替え。中でも京都は8回開催まで行われ、平年の約1・6倍に当たる763レースが施行されている。
また、この年は「中央・地方交流元年」。指定トライアルレースで優先出走権を獲得した地方所属馬が、JRAに移籍することなく、中央のGⅠに出走可能となった。
桜花賞TRの4歳牝馬特別(現フィリーズレビュー)も舞台は京都。ここで鮮烈な中央デビューを果たしたのが笠松から参戦したライデンリーダーだ。
前年6月のデビューから破竹の10連勝。オグリキャップの再来ともいわれた。鞍上は東海のナンバーワンジョッキー、安藤勝己である。
1番人気は紅梅賞、バイオレットSを連勝中のエイユーギャルに譲ったが、それに3馬身半差をつける圧勝。一躍、桜花賞の最有力馬になった。
だが、この時は本番への権利取りのため、陣営は前走から14キロ減と目いっぱいに体を絞っていた。
そのため中2週の桜花賞は増減なしで④着、東京に輸送するオークスはさらに8キロ減って⑬着……。
夏場を休養に充てて馬体は回復。ローズS③着で再び大舞台、エリザベス女王杯の権利を取ったものの、これも⑬着という結果に終わった。
他にも栃木のハシノタイユウが弥生賞③着から皐月賞で⑨着。笠松のベッスルキングは神戸新聞杯③着から菊花賞で⑧着。残念ながらGⅠで通用しなかったのは、やはりトライアルで目イチに仕上げなければならないからか。
ただ、本番はさておき、前哨戦で馬券に絡む力があることを示したのは、意義があるといえよう。
一方で地方の一部重賞も中央馬に開放された。まだアラブの重賞を除くと12鞍。牝馬限定戦は6月川崎のエンプレス杯のみだったが、そこでホクトベガが②着に3秒6差の大圧勝劇を演じた。これを機に、JRA馬が地方の大レースを席巻。中央と地方の馬の“収入格差”はますます開いていった。